『極主夫道』津田健次郎インタビュー

設定のミスマッチに爆笑! 津田健次郎がハマり過ぎの当たり役語る

#Netflix#アニメ#アニメーション#極主夫道#津田健次郎

津田健次郎

ロボット掃除機のくだりがくだらなさの極みで面白いです

Netflixオリジナルアニメシリーズ『極主夫道』
2021年4月8日より全世界独占配信中
(C)おおのこうすけ/新潮社

元極道が主夫をする、そのギャップが笑える、おおのこうすけ原作によるギャグ漫画「極主夫道」。2020年秋クールにテレビドラマ化もされた話題作がNetflixでオリジナルアニメ化され、4月8日から全世界独占配信される。

「不死身の龍」と呼ばれた元・最凶の極道の主人公の声を担当したのは、『呪術廻戦』のナナミンこと七海建人役などでも人気の津田健次郎だ。津田はもともと「極主夫道」のコミックスのCMや実写版PVで龍を演じていたこともあり、今回、満を持して龍を演じた津田に話を聞き、作品への思い入れやアフレコのエピソードなどから、PV撮影の苦労までふんだんに語ってもらった。

津田健次郎の写真をもっと見る
『鬼滅の刃』我妻善逸の下野紘がトカゲ&ヤモリ役ゲット!「トカゲに縁があるのでしょうか(笑)」

──まずは第15回声優アワード主演男優賞(※)受賞、おめでとうございます。

津田:ありがとうございます。賞とは縁のないものだと思っていたので驚きました。一人の力ではなく、今まで作品に関わってくださったみなさん、応援してくださったみなさんのおかげだと思っています。
※声優アワードとは、声優アワード実行委員会が選定する優秀な声優に与えられる賞。2006年に創設され、毎年3月に授賞式が開催される。

──今回は新たに『極主夫道』アニメ化で龍を演じられましたが、出演が決まったときの感想をお聞かせください。津田さんはこれまでにもCMや実写版PVで龍を演じてこられたわけですが。

津田:コミックスのCMで初めて『極主夫道』に関わらせていただいて、とにかく原作自体が素直に面白くて、いろいろと関わらせてもらえればいいなと思っていました。アニメ化でまた龍をやれるとなって嬉しかったですね。やっと来たか!と(笑)。

──声優のお仕事は人気声優の方もベテランの方もオーディションがあるという話を聞きますが、今回もオーディションがあったのでしょうか?

津田:オーディションではなかったです。引き続きやらせてもらえてありがたいです。

津田健次郎

──今回は津田さんに、とお話があったわけですね。原作コミックが素直に面白いと感じられたのは、どんなところが魅力だと思いましたか?

津田:魅力はたくさんありますが、まずは間の使い方がうまいと思いました。どうでもいい話の羅列なのに、だからこそそれがまた面白いし。キャラクターも立っていて、どのキャラも詳しくバックグラウンドが描かれているわけじゃないのに背景が見えてくるんですよね。クレープ屋さんとか(笑)ギャップも含めて設定だけでも笑えます。よく練られていて、どこを切っても面白いのが素晴らしいです。

──龍役を演じていて気を付けた点はどんなところでしょうか?

津田:テンポですかね。アニメの絵が先にあるから、僕が作らなくてもおおまかなテンポは先にあるわけですが、このリズムは作品の命になると感じました。繊細に演じなきゃいけない、と。アニメのカット割りはとても速くて、原作の間の面白さを活かしていると思いました。『極主夫道』は引き算の面白さがあって説明をわざとせず、早いテンポの中にスコーンと間があくところがあって、そこにも面白さがあったり。勢いだけでは成立しないので、それは気を遣ったところです。

──龍は元極道であるのに主夫業をきちんとこなしているところが面白く、津田さんの低音ボイスがとても合っていて面白さが倍増していると思います。龍と津田さんの共通点などはありますか?

津田:僕は家事全般は苦手なので、そこは似てないですね(笑)。似てるところはあまりないかもしれませんが、ひとつあるとすれば、スイッチが入れば猪突猛進なところですかね。周りが見えなくなる瞬間が僕もあるので。

──アニメ版で好きなエピソードがあれば教えてください。

津田:思い入れがあるのは実写版PVでもやったロボット掃除機のくだりですね。くだらなさの極みで面白いんですよね(笑) 脚本を読んだ時も「え? 龍、これ、ひとりでしゃべってるんだよね」って思いました(笑) 美久との会話シーンも面白かったです。実写版PVはひとりでやっていたので、アニメではいろんなキャラクターと絡めて、その点も楽しかったです。みんなで笑いながらやってました。

──アフレコ現場も楽しそうですね。和気あいあいとしていそうです。

津田:めちゃくちゃ和気あいあいとやってました。今、通常はコロナ禍で2,3人ずつ交代でスタジオに入って、録ることが多いんですが、『極主夫道』は同じフロアのいくつかのスタジオに分かれて入って、同時進行で録ることができたんです。だから本当にオンタイムで会話のキャッチボールができて。ノリが大切な作品なので、コロナ禍でそれができたのは幸せなことでした。それも作品の面白さにプラスに働いていると思います。

──では、アニメ版と実写版PVとの違いについて教えてください。

津田:龍を演じる上では、実写版PVもアニメ版も変わりはないです。CMの第1回をやらせてもらったときからスタイルは変わっていません。実写版PVとの違いを言うと、実写版PVは監督も務めさせてもらったので、客観的に見ておかなければいけない部分でしょうかね。

──監督で苦労された点はどんなところですか?

津田:『極主夫道』の実写版PVはとにかく時間がなかったことですね。どのくらい時間がないかというと、最後の取り調べや自転車のシーンを時間がないのでカットしましょうと言われてしまったぐらい。オチとなる重要なシーンだから絶対に必要だとわがままをいってやらせてもらいました(笑)。時間がない状況で監督という立場からすると取り直しは出来るだけ避けたいので、演技もなおさらがんばりました(笑)。時間の関係でプレビューもほとんどできなくて。アフレコの現場とは全然違いますね。

Twitterは僕以外が書くことはない。100%僕です

──津田さんは映画『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』も監督されましたが、監督業にももっと力を入れていきたいと思いますか?

津田:もともと中高生のときに実写映画が好きでたくさん見てきて、監督をやりたいと思ってこの映像業界で仕事することを目指しました。声優のお仕事をもらえるようになって方向性が変わってきたんですが、監督やれるなら、ぜひ作品を撮りたいですね。

──監督作も楽しみにしています。今、声優を目指している方もたくさんいらっしゃいますが、普段声優のお仕事をしていて気を付けていることを教えてください。

津田:もちろん個々の作品によって変わってきますが、いつも役が持っているキャラクター性と僕自身のキャラクター性をどう融合させていくかを考えています。100%役になりきれるのが一番いいのでしょうけど、僕自身を超えるのは難しいと思っていて、そのキャラと僕自身が融合して一人の人物になっていくのを目指すのがベストじゃないかと思うんです。僕はなるべく中からキャラクターを立ち上げていきたいというスタンスで声優の仕事をしているので。まず声をコントロールしてキャラクターにはめこんでいく方もたくさんいらっしゃると思いますが、僕は形よりも中をうまくシンクロさせて完成形になっていけばいいなと思って声の仕事をしています。

──演じ分けなどについても教えてください。たとえば、『極主夫道』の龍は強面の極道もので、『呪術廻戦』のナナミンも笑顔の少ないキャラクターで似ている部分もあると思いますが、どのように演じ分けられていますか?

津田:龍は素直で思ったことがそのまま顔出るし、言葉や行動にも出るんですよね。ナナミンは内に秘めていて感情は表には出さないタイプ。そういうモードというか、キャラクター性を考えて芝居するようにしています。

──役作りのためにまだアニメ化されていない原作の先を読んだりもしますか?ナナミンは本誌の展開がネットで話題になったりしていましたが。

津田:はい、読むケースが多いです。なるべく原作は先の方まで追いかけて読むようにしています。役作りのためにドラマの展開を知っておきたいこともありますし、純粋な興味もあります(笑)。

津田健次郎

──知りたくなりますよね。ところで、Twitterの津田さんのアカウントで、たとえばナナミンのことなら「〇〇しないのは、クソということです」などナナミンのセリフを引用したツイートがありますが、あれも津田さんご本人が書かれてるんですか?

津田:もちろんです、Twitterは僕以外が書くことはないです。100%僕です。僕がキャラクターのセリフを使うことを良く思われない方ももちろんいらっしゃるとは思いますが、この作品の話だからキャラクターの“らしさ”みたいなものが出ていた方が、僕が逆の立場だったら楽しいかなと思うので。『極主夫道』のツイートでも龍口調というか実際のセリフをもじったものを使って書いていますね。ちなみに好きなセリフは「イモ引いてんちゃうぞ」で、わりとよく使ってますね(笑)。

極主夫道

──それはファンには嬉しいと思います。今後のツイートも楽しみです。

津田:ありがとうございます(笑)。

(text:入江奈々/photo:堤博之

津田健次郎
津田健次郎
つだ・けんじろう

6月11日生まれ。大阪府出身。『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』海馬瀬人役で頭角を現し、他に『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』『テニスの王子様』シリーズ、『ACCA13区監察課』など声優として数多くの作品に出演。またNHK朝の連続テレビ小説『エール』が話題になるなど、ドラマや映画、舞台で俳優としても活躍している。『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』で映画監督デビューも果たしている。