『闇金ウシジマくん Part2』窪田正孝インタビュー

『花子とアン』にも出演中の注目若手がどん底のホスト役に挑戦

#窪田正孝

新米ホストの一生懸命さを表現しようと思いました

闇金を舞台に現代社会の暗部を描く真鍋昌平の人気同名コミックの映画化第2弾『闇金ウシジマくんPart2』。

金に困って後がない客に暴利で貸し付ける闇金業者「カウカウファイナンス」の丑嶋馨(ウシジマ)が債務者を容赦なく追い詰めていくストーリーで、Part2は原作の「ヤンキーくん編」と「ホストくん編」を軸にオリジナル要素も盛り込んだ群像劇だ。

ウシジマ役の山田孝之を筆頭に、綾野剛、菅田将暉、柳楽優弥ら豪華キャストが勢ぞろいしているが、そんなパワフルな面々のなかで、静かな演技で作品に趣を添えていたのが新米ホスト・神咲麗(レイ)役の窪田正孝だ。現在、話題の映画やドラマへの出演が続き、勢いに乗っている彼に話を聞いた。

──今回、ホスト役を演じるにあたって、リサーチなどはされましたか?

窪田:ホスト役は初めてでしたが、麗自身がこれからホストとして頑張ろうとしている新人という設定なので、ホストに見えない感じのほうがいいと思ってあまり知識を入れないようにしていました。

──窪田さんはホストというイメージではありませんよね。そのこともキャスティングの理由だったのでしょうか?

窪田:どうなんですかね? 僕にはわかりませんが。ホストという仕事に真面目に取り組んでいこうとしているのが麗なので、一生懸命さを出そうと思いました。彼はナンバー1ホストを目指すうちに麦ちゃん(麗に想いを寄せる彩香役を演じた門脇麦)と一緒にその世界に飲み込まれていきますが、その徐々に変わっていくところを短い時間のなかで表現できるように気を付けていました。

──ホストの世界を生きるというのは、芸能界や役者業にも似ているところがある様に思うのですが、どう思われますか?

窪田:共通しているところはありますね。他にも、役者はその人物を生きる(演じる)ことで見てくれる人に夢を与えることができますが、ホストも接客して話したりすることでお客さんを楽しませることができます。今作の撮影にはホストの方々とエキストラの女性たちが参加してくださったのですが、撮影現場では各テーブルでホストとお客さん役のエキストラの女性たちがすごく笑ってるんですよ。そういうのを目の当たりにして、みんなを楽しませる話術やパフォーマンスというのも職人の技なんだなあ、と勉強になりましたね。シャンパンコールもすごくて、テストの段階から圧倒されてしまって。みなさんの団結力とかノリがすごくて、かっこよかったです。

シャンパンタワーの撮影が楽しかったです
窪田正孝

──麗が登場する最後のシーンは感動的でした。窪田さんは演技の学校などには通われていないと思いますが、あのような演技力は現場のなかで吸収されて身に着けてこられたのでしょうか?

窪田:ありがとうございます。事務所のなかでレッスンはありましたが、特別に通ったりはしたことはないです。ただ、最初の頃に演技を学ばせてもらった後は、「習うより慣れよ」ではないですが、現場がやはり勉強になりました。20歳の頃にいい経験をさせていただけたので、それが基盤になっています。

──今回、ご自身が演じたなかで思い出深いシーンはどこですか?

窪田:1番は、初めて経験できたという意味で、シャンパンタワーですね。麗の短いホスト人生の最高潮ですから(笑)。あのシーンは、グラスをテープで固定したりもしていないんですよ。撮影当日にホストのみなさんが先陣をきってたくさんのグラスでタワーをつくってくださったので、失敗は許されず、1回で撮影しました。何度もシャンパンタワーをされているホストの方々にシャンパンの注ぎ方などを伝授していただいて(笑)。本当に職人技ですよ。この仕事(俳優業)をしていたら経験することはないと思うので、楽しかったです。

窪田正孝

──主演は山田孝之さんですが、共演されたご感想は?

窪田:山田さんとは、20歳のときに映画でご一緒していて(『十三人の刺客』)、その前から好きだったのですが、『闇金ウシジマくん』のときは一視聴者として映画館に見に行って、純粋に面白くって、ドラマ(『闇金ウシジマくん Season2』)も見ました。山田さんはずっとウシジマを演じられてきて、今回はより洗練されているというか磨きがかかっているというか、何物にも動じない、引くことをしらない、という感じがすごかったですね。

──今回は視聴者ではなく参加した側として、この作品の見どころは?

窪田:見た後にすっきりするんですよ、山口監督のマジックでエンターテインメントに仕上がっているんです。お金を中心に、人の醜い姿だったりお金に対する執着心だったり、そういうところを描いていますが、最後にそんな泥沼から抜け出していく貴重な一歩を踏み出せる映画だと思います。
 個人的にはバカリズムさんの役(競馬が大好きなダメ男・下村)がすごく面白かったです。いくつもの話が休む暇もなく一気に流れていくというか、そのひとつひとつに小さい爆発が起きて、最後にまた大きい爆発が起きて、その爆発によって受ける衝撃みたいなものをスクリーンを通して見ていただけたらなあ、と思います。

もっと振り切れたい。全開に笑えるコメディに挑戦してみたいです
窪田正孝

──次々と事件が起こる作品ですよね。そのハラハラドキドキした展開が面白いのですが、窪田さんご自身の役者人生のなかで、そういうハラハラドキドキした経験はありましたか?

窪田: 基本、ハラハラドキドキです(笑)。わりと緊張しやすくて、すぐあがっちゃうんですけど、この作品でいえばシャンパンタワーの撮影でした。あとは、山田さんと一緒に演じさせていただいたシーンは2シーンくらいしかなかったんですけど、麗がカウカウファイナンスにお金を借りに行ってウシジマ社長のデスクの前に立つシーンを撮っているとき、その周りだけ特別に空気が違う気がしたんです。シリーズを通して座長としてやってこられた山田さんだからこそのオーラだと思いますが、「なんだこの人は!」というような緊張感漂う感じ。あの雰囲気を肌で感じられたこともいい経験になりました。

──最近は『カノジョは嘘を愛しすぎてる』にも重要な役で出演されていましたし、NHK連続テレビ小説にも出演中と活躍の幅が広がっていますが、今後、挑戦してみたい役柄や作品はありますか?
窪田正孝

窪田: コメディをやってみたいですね。バラエティじゃなくてドラマだからこその全開に笑える感じのものに挑戦できたらいいなあ、と思います。ふだんあまり自分がやらない役をやって、もっと振り切りたいですね。そこからまた新しいものが見えるかもしれないですし。スーパーコメディとか、いいですね。

──今はお仕事が多忙だと思いますが、オフの日はどんな風に過ごされていますか?

窪田: 最近は、プールによく行きます。けっこう気持ちよくて(笑)。体を動かさないと、感覚が鈍っていってしまうので。ストレス発散にもなりますし。

──水泳は得意な方ですか?

窪田: いや、むしろ昔はかなづちで……。でも、なんか泳いでいると楽しいというか、水のなかが好きなんです(笑)。

(text&photo=秋山恵子)

窪田正孝
窪田正孝
くぼた・まさたか

1988年8月6日生まれ。神奈川県出身。2006年テレビドラマ『チェケラッチョ!! in TOKYO』で初主演をつとめる。08年、三池崇史監督が製作総指揮を務めたドラマ『ケータイ捜査官7』での演技で高評価を得る。以降、『十三人の刺客』(10年)、『ふがいない僕は空を見た』(12年)、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13年)などの映画だけでなく、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(10年)、『花子とアン』(放映中)とドラマ、舞台にも出演し、期待の若手俳優として注目を集めている。

窪田正孝
闇金ウシジマくん Part2
2014年5月16日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国公開
[製作]山口雅俊
[製作・監督]山口雅俊
[脚本]福間正浩、山口雅俊
[原作]真鍋昌平
[出演]山田孝之、綾野剛、菅田将暉、木南晴夏、門脇麦、高橋メアリージュン、中尾明慶、窪田正孝、希崎ジェシカ、バカリズム、大久保佳代子、キムラ緑子、マキタスポーツ、本仮屋ユイカ、光石研、柳楽優弥、崎本大海、やべきょうすけ
[DATA]2014年/日本/東宝映像事業部、S・D・P

(C) 2014真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん2」製作委員会