後編/山崎賢人の恋愛映画に外れなし!?『オオカミ少女と黒王子』は『ズートピア』V4を阻止できるか?  

#週末シネマリサーチ

『スノーホワイト/氷の王国』
(C)Universal Pictures
『スノーホワイト/氷の王国』
(C)Universal Pictures

【週末シネマリサーチ】後編
〜意外なところにヒットの秘密が!〜

(…前編「『黒王子』の初週動員は20万人が目安?」より続く)
【週末シネマリサーチ】前編/山崎賢人の恋愛映画に外れなし!?『オオカミ少女と黒王子』は『ズートピア』V4を阻止できるか? 

◆伊勢志摩サミットが追い風に!?
対テロ描く『エンド・オブ・キングダム』

〇【3位予想】『スノーホワイト/氷の王国』
グリム童話の「白雪姫」を大幅にアレンジして製作されたアクション・アドベンチャー映画『スノーホワイト』の続編。前作で滅ぼされた邪悪な女王ラヴェンナや、その妹フレイヤの美しくも邪悪な姉妹の戦いを描く。

前作『スノーホワイト』は全国572スクリーンで公開され、初週土日動員23万4000人で1位を獲得した。本作は全米で4月22日に約3800館で公開され、オープニング興収1940万ドルという結果。前作がオープニングで約5600万ドルを記録したことを考えると、やや影を落とす数字だ。

劇場公開数は約340館。5月24日にはイベントが行われ、人気子役でフィギュアスケーターの本田望結と妹の紗来、お笑いコンビ・トレンディーエンジェルが出席。イベントには、映画をイメージした氷の玉座が登場し、その制作費が1000万円だったことが大きく報道された。全米のオープニングの結果を鑑みると、前作ほどの数字を出せるかは微妙だが、“雪の女王”は日本でも人気があり、10-15万人は外せないところか。

△【9位予想】『エンド・オブ・キングダム』
ある事件によりシークレットサービスを離れていた男が、アジア人テロリストグループに占拠されたホワイトハウスから、大統領を救出する姿を描いた『エンド・オブ・ホワイトハウス』(15年/アスミック・エース)の続編。ロンドンを舞台に、新たなテロリストとの戦いに挑む。主演は前作からジェラルド・バトラーが続投している。

全米では3月に約3500館で公開され、オープニング興収約2160万ドルで2位というスタートを切った。前作が約3100館で興収3000万ドルということを考えると、こちらも続編でやや数字を落とした。『エンド・オブ・ホワイトハウス』の日本での成績は、全国204スクリーンで公開され、初週土日動員5万7000人の4位という結果。

本作は約130館での公開。奇しくも5月26日・27日には伊勢志摩サミットが開催され、各国の首脳が日本に集まるというタイムリーな話題もある。前作公開時には、主演のジェラルド・バトラーがPRのため来日するなど盛り上がりを見せていたことに比べると、やや話題性には欠けるかもしれないが、ランキングに入ってくる可能性は十分ある。

△【10位予想】『ヒメアノ〜ル』
古谷実の同名人気コミックを、映画『銀の匙 Silver Spoon』(14年/東宝)の吉田恵輔監督が、「V6」の森田剛主演で実写映画化。青春期の屈折した経験により、強烈な殺人鬼になった男の衝動を描く。

メガホンをとった吉田監督は、『銀の匙 Silver Spoon』が、全国285スクリーンで公開され、初週土日動員9万9000人の4位という結果がある。本作は90館弱での公開だが、単独初主演となった森田の演技が“怖すぎる”とネットを中心に話題になっているなど、注目度は非常に高い。共演の濱田岳やムロツヨシも映画好きにはたまらない俳優。どんなオープニング成績を飾るか楽しみな作品だ。

【注目シネマ】
*『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』
シニカルでユーモアあふれるドキュメンタリー作品を世に送り出しているマイケル・ムーア監督の最新作。これまで銃社会や医療保険制度、テロ対策など、アメリカの抱える問題を痛切に皮肉ってきたが、本作では他国で行われている良いことをアメリカに持ち帰り、国を良くしようという趣旨の作品だ。

オープニング時の劇場公開数は30館弱。4月19日にはお笑いコンビ・ハリセンボンが本作の宣伝隊長に就任し、イベントに参加。ムーア監督の衣装で登場した近藤春菜は「マイケル・ムーアじゃねーよ」のギャグを、本人から公認してほしいと訴え大きな笑いを誘っていた。上映館からしてランキングに入ることはないだろうが、確実にスクリーンアベレージが高い監督作品。劇場には早めにお出かけすることをおすすめしたい。(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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