後編/ディーン・フジオカが体現する新しいイケメン俳優・ミュージシャンのあり方とは?

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ディーン・フジオカ
ディーン・フジオカ

『夢の向こう側』に自作曲を提供

(…前編より続く)台湾から逆輸入される形でブレイクしたディーン・フジオカ。日本語や英語、中国語などを自在に話すマルチリンガルであり、インドネシアでは自らの作詞・作曲・プロデュースで音楽活動も展開。日本でもiTunes限定シングル「My Dimension」を2013年にリリースするなど、俳優にとどまらない才能は日本でのブレイク前から存分に発揮されている。もっとも最近は、日本のバラエティ番組でもギターの腕前を披露したり、松田聖子の名曲「SWEET MEMORIES」をオリジナル・キーで熱唱する姿が放映されているので、そのマルチな才能は多くの日本のファンも知るところとなっている。

この『夢の向こう側』では、ジョー役のジミー・ハンやマイク役のヴァネス・ウーが中心となってバンド“SMASH”のオリジナル曲を書いているが、ディーン・フジオカもいくつか自作曲を提供している。母親がピアノの先生だったということで、ギター以外にもさまざまな楽器を演奏することができる彼の貢献度は、本作の音楽面においても高いものだったに違いない。ポップなツボを押さえたこのバンドのメロディアスな楽曲は、物語そのものよりもずっと魅力的だ。劇中でマイクがアメリカのベテラン・バンド、チープ・トリックのTシャツを着ているシーンがあるが、そのポップな音楽性には確かにチープ・トリックに通じる部分があったりもする。

2013年の映画『I am Ichimashi 〜逮捕されるまで〜』では主演だけなく監督もつとめるなど、音楽だけでなく映画の世界でもマルチな才能を発揮するディーン・フジオカ。あえてホームグラウンドを持たず、アジアやアメリカでグローバルに活動する一方、自分のイメージにこだわらず、バラエティ番組にも積極的に出演し、家族やプライベートについても包み隠さずフランクに話す。そんな活動スタンスは、同じアミューズ所属の福山雅治らとは一線を画す、新しいイケメン俳優・ミュージシャンのあり方を印象づける。(文:伊藤隆剛/ライター)

『夢の向こう側』は3月19日/19:00よりチバテレにて放送。

伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの 趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラ の青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる 記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。

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