(後編)若手実力派俳優勢ぞろい!「ストレイヤーズ・クロニクル」は『ラブライブ』のV3を阻止できる!?

#週末シネマリサーチ

『アリスのままで』
(C)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.  
『アリスのままで』
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(…前編より続く)

○【5位予想】『劇場版「進撃の巨人」後編 自由の翼』
テレビアニメ「進撃の巨人」全25話を再編集した劇場公開版2部作の後編。テレビシリーズの14〜25話が再編集されている。

前編が、全国53スクリーンで6位にランクインという、高いスクリーンアベレージを誇った。6月19〜20日には、ニコニコ生放送で、1〜25話を一挙配信、6月21日には、TOKYO MXテレビにて『前編〜紅蓮の弓矢〜』が放送されるなど、後編公開に向けて盛り上がりをみせている。

上映館数は約80。公開日の6月27日〜7月5日にかけて、エレン役の梶裕貴、ミカサ役の石川由依、アルミン役の井上麻里奈、リヴァイ役の神谷浩史らの舞台挨拶も決定。ランキングをにぎわすだけの要素はそろった。

(前編)【週末シネマリサーチ】若手実力派俳優勢ぞろい!「ストレイヤーズ・クロニクル」は『ラブライブ』のV3を阻止できる!?

▲【9位予想】『アリスのままで』
全米でベストセラーになった小説「静かなるアリス」を映画化。若年性アルツハイマーになったアリスが記憶を失っていくまでの姿を描いた人間物語。

主演のジュリアン・ムーアは本作で、第87回アカデミー賞主演女優賞を受賞。近年の主演女優賞受賞作を見ていくと、『ブルージャスミン』(14年)が全国54スクリーンで動員2万900人の10位、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』が全国205スクリーンで動員10万3000人の7位、『ブラック・スワン』(11年)が全国306スクリーンで動員20万9000人の1位。

本作は約70館での上映。3月10日には、メガホンをとったリチャード・グラツァー監督がALS(筋萎縮性側索硬化症)の合併症により他界。その壮絶な闘病生活が、作品の中にも色濃く出ていると、多くの人がその死を悼んだ。人生を真摯に描いた本作の奮闘に期待したい。

△【10位予想】『ラブ&ピース』
鬼才・園子温監督が25年前に書いたオリジナル脚本を、長谷川博己主演で映画化。うだつの上がらないサラリーマンが、一匹のミドリガメとの出会いから、数奇な人生に導かれる様を描いたファンタジー。

公開作品が後を絶たない園監督が思い入れいっぱいに作った作品。前作『新宿スワン』が自身初のランキング1位を獲得するなど、ノリにノッている園監督。本作と同じくオリジナル脚本で臨んだ『地獄でなぜ悪い』が70館前後の公開規模で初週11位。

本作の公開数は40〜50館と、全国320スクリーンで公開され17万5000人を動員した『新宿スワン』ほどの数字は見込めないが、根強いファンを持つ監督だけに、トップ10入りも不可能ではないだろう。

【注目シネマ】
×『天の茶助』
SABU監督の小説を自身で映画化。地上に住む人々の“人生のシナリオ”を書いている天界を舞台に、そこでお茶くみをしている男が、交通事故で死亡する運命を負った女の子を救うために地上に降り立つことによって起こる騒動を感動的に描く。

主演は松山ケンイチ、ヒロインに大野いと。共演者に大杉漣、伊勢谷友介、玉城ティナ、寺島進など豪華メンバーが顔を揃える。SABU監督&松山のコンビは、映画『うさぎドロップ』(11年)以来。『うさぎドロップ』は全国110スクリーンで公開され、動員7万8000人を記録した。

本作は約40館での上映。第65回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に選出されるなど注目度は高い。

×『きみはいい子』
さまざまな映画祭で高い評価を受けた映画『そこのみにて光輝く』の呉美保監督が、中脇初枝の短編小説を映画化。問題を抱える大人たちと、その影響を受ける子どもたちの関係を描く。

高良健吾、尾野真千子、池脇千鶴ら実力派俳優たちが共演。呉監督の前作『そこのみにて光輝く』は、29館で公開され、動員1万人を記録するなど好スタートを切った。本作も30館程度での公開。非常に作家性の強い監督。『そこのみにて〜』以上のスタートを切る可能性も十分ある。

(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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