小津や黒澤にも影響を受けた。『めぐり逢わせのお弁当』のインド人監督が来日

ティーチ・インに臨んだ『めぐり逢わせのお弁当』のリテーシュ・バトラ監督
ティーチ・インに臨んだ『めぐり逢わせのお弁当』のリテーシュ・バトラ監督

8月9日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開となる『めぐり逢わせのお弁当』のリテーシュ・バトラ監督が初来日。インド出身でアメリカで映画制作を学んだ今後の活躍が期待される同監督が、7月30日に都内試写室で行われたティーチ・インに出席した。

[動画]『めぐり逢わせの​お弁当』予告編

本作は2013年カンヌ国際映画祭批評家週間で観客賞を受賞。間違って届けられたお弁当から始まる、偶然のめぐり逢わせがもたらした孤独な男女の出会いを繊細に紡いだ心に染みるインド映画だ。

バトラ監督は「今日はお越しいただきありがとうございます。この作品は、去年のカンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映され、その後世界各地で公開されました。そしてこの度やっと日本公開となり、実は日本食が好きというのもあったので、今回来日できてよかったです。ありがとうございます」と挨拶。

「印象深いセリフが多く、感動しました」という観客の声には「今回は自分で脚本を手掛けているので、もちろんセリフも自分で考えました。しかし、映画に感動したということは、決して私の力ではありません。観客の力です。映画というのは、見ている方々がそれぞれ自分の人生を投影させて見ることで、その人のものになると思っています。だから、この映画に感動したのであれば、それはあなたのおかげなのです」と回答。

「生活の音がとても印象的でした」と尋ねられると、「本作はインド・フランス・ドイツの合作となります。そのような経緯もあり、ドイツのベルリンでサウンドデザインを行いました。通常インド映画というと、やはり楽曲に重きがおかれます。しかし、キャラクターのことを考えると、この作品においては楽曲が観客の感情を導くということはないと考えました。2〜3ヵ月かけてサウンドデザインをじっくり行うことで、キャラクターの内なる風景を描いたつもりです」と答えた。

また、好きな映画監督について聞かれると、「小津安二郎、ルイ・マル、イングマール・ベルイマン、アッバス・キアロスタミ」といった監督の名前を挙げ、「それぞれ素晴らしい才能を持っているにも関わらず、決してそれを見せびらかすような作り方をしない。キャラクターに耳を傾けて、自然な形で物語を紡いでいく。そのような作り方がとても好きで、私も彼らのように映画を作ろうと精進しております」と回答。「18歳のときに進学のためアメリカへ渡ってからワールドシネマを見ることができたのですが、それ以前に、サタジット・レイやグル・ダットという大好きな監督の作品も見ていますし、黒澤明の『乱』や『七人の侍』からも影響を受けました」と話していた。

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