【映画興収レポート/2月】ジャニーズ俳優が支えた2月の興収。洋画ではレオ様が奮闘

『抱きしめたい−真実の物語−』
(C) 2014映画「抱きしめたい」製作委員会
『抱きしめたい−真実の物語−』
(C) 2014映画「抱きしめたい」製作委員会
『抱きしめたい−真実の物語−』
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『小さいおうち』
(C) 2014「小さいおうち」製作委員会

1月下旬〜2月公開作の興行成績をまとめた。

2月に入っても好調なのは『永遠の0』だ。1月26日時点の興収は約60億円だったが、2月23日時点で約78億円。この1ヵ月で売り上げた興収は約18億円で、2月公開作よりも多い。2月1週目、2週目は大雪の影響で興収の伸びは鈍ったものの、引き続き口コミで観客を集めている。興収78億円を記録したことで、12年の『BRAVE HEARTS 海猿』(73.3億円)を上回った。近年の邦画大ヒット作は、『THE LAST MESSAGE 海猿』(10年)80.4億円、『HERO』(07年)81.5億円、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)85億円、『ROOKIES 卒業』(09年)85.5億円。『永遠の0』はどこまで記録を伸ばすだろうか。

【映画興収レポート/1月】昨年末公開作が依然好調、『永遠の0』が60億円で絶好調

2月公開作の1位は『抱きしめたい−真実の物語−』の10億円。配給元の東宝の発表によると、客層は男女比が8対92、年齢別では16〜19歳が26.3%、20代が20.0%、13〜15歳が18.8%。10代20代女性が大半を占めており、ラブストーリーらしい客層となった。主演の錦戸亮と北川景子がテレビ番組に出演してPR。特に製作元のTBSでは一大プロモーションを展開し、映画のモデルとなった2人のドキュメンタリー特番を放映したり、錦戸らは公開初日には『王様のブランチ』や『世界ふしぎ発見!』に出演、映画特番も放映された。また2月9日には主演の2人が大ヒット舞台挨拶。バレンタイン間近とあって、北川景子が錦戸亮に手作りチョコレートをプレゼント。メディアでも取り上げられた。

実はこの作品、TBS系列のHBC北海道放送で放映されたドキュメンタリー『記憶障害の花嫁』が原作になっている。TBSがドキュメンタリー番組を基に映画化するのは09年『余命1ヶ月の花嫁』以来のことで、プロデューサーも同じだ。同作は興収31.5億円を記録しており、『抱きしめたい』がどこまで迫るかに注目だ。

2位は『小さいおうち』の9億円。山田洋次監督の前作『東京家族』(18.2億円)に比べると初日2日間の興収は58.6%。出足は鈍かったものの、主演の黒木華がベルリン国際映画祭で最優秀女優賞の銀熊賞を受賞したことで、4週目の興収が前週比66%の伸びを示した。受賞の模様を映した映像を使ったテレビCMを流し始めており、受賞効果で『東京家族』の18.2億円にどこまで迫るかに注目だ。

3位は『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』の8億円。全国週末動員数ランキングでは『永遠の0』を押さえて2週連続1位となっている。主演の生田斗真らがテレビ番組に出演してPR。特に製作元のフジテレビでは一大プロモーションを展開したことで動員が伸びた。生田にとっては昨年の『脳男』(12.7億円)に続くヒット作となった。『永遠の0』の岡田准一、『抱きしめたい』の錦戸亮、『土竜の唄』の生田斗真はジャニーズ事務所の所属。ジャニーズ俳優が2月の興行を支えたといえる。

ちなみに、洋画で2月最大のヒットとなったのが『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の7億円。主演のレオナルド・ディカプリオが共演者のジョナ・ヒルやマーティン・スコセッシ監督と公開直前に来日したり、東京証券取引所で会見を行ったことがマスコミに取り上げられ、注目度が高まった。アカデミー賞作品賞にノミネートされた作品としては、『アメリカン・ハッスル』も同じ1月31日に公開されたが、『ウルフ〜』の興収が上回った。「ディカプリオが悲願の主演男優賞受賞なるか」の話題性も動員を後押しした。(文:相良智弘/フリーライター)

[14年1月下旬〜2月公開作ランキング]
1位 『抱きしめたい−真実の物語−』12億
2位 『小さいおうち』9億
3位 『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』8億
*『永遠の0』累計興収78億
(2月24日時点。ムビコレ調べ)

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