黒沢清監督の4時間半の長尺映画がヴェネチア映画祭でスタンディングオベーション

記者会見中の黒沢清監督
記者会見中の黒沢清監督
記者会見中の黒沢清監督
ヴェネチア国際映画祭に参加した黒沢清監督
昨年末に行われた『贖罪』制作発表記者会見
前列左から黒沢清監督、小泉今日子。後列左から池脇千鶴、安藤サクラ、小池栄子、蒼井優

第69回ヴェネチア国際映画祭の特別招待部門に出品された黒沢清監督の『贖罪』が、8月30日14時半(現地時間)より上映され、スタンディングオベーションを巻き起こした。

[動画]ドラマ『贖罪』制作発表会見

同作は、WOWOWで今年1月に放映された全5話の連続ドラマ。今回上映されたのは、そのドラマを4時間半の長編映画として再編集したもので、ドラマの評判を聞いた世界各国の映画関係者らの強い要望により映画として再編集され、今回の出品につながった。

上映前には記者会見も行われ、黒沢監督は「撮影をした当時は、テレビや映画を意識して撮ってはいなかったので、正直、このように映画として世に出ることになったことをとても嬉しく思っています」とコメント。また「長尺にも関わらずこの作品を選んでくれたヴェネチア国際映画祭は、寛大で冒険的な映画祭だと、改めて懐の広さに感激しています」とも話していた。

同作は、湊かなえの小説をもとに、小学生の娘を殺された母親と、事件を目撃した娘の同級生たちの15年の歳月と悲劇の連鎖を描いた作品。母親を小泉今日子が、成長後の同級生を蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴が演じている。

黒沢監督は「湊かなえさんの作品はとても女性的で、男性の私にとってはあまりなじみもない原作と思いながらも、とても楽しんで作ることができました。この映画は、私自身の過去の作品の“その先”を探り出すような思いで作りました」と自作を説明した。

海外メディアからは「なぜ、日本の社会ではこの映画のように個人と社会が対立するような事件が起きるのか」という質問もあり、黒沢監督は「日本に住んでいる自分でもわからない日本の社会構造は、報道で見えてくるものとは異なるものが隠されていると思う」と真摯に答えていた。

ヴェネチア国際映画祭は8月29日〜9月8日まで開催。また、『贖罪』のDVDは現在セル&レンタルがリリース中。

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