私生活の過剰報道は女優生命の危機? キーラ・ナイトレイが語る本音

『ある公爵夫人の生涯』でスキャンダラスな人生を送った主人公を演じたキーラ・ナイトレイ/渋谷Bunkamura ル・シネマほかにて全国公開中/(C) 2008 BY PARAMOUNT VANTAGE, A DIVIDION OF PARAMOUNT PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED
『ある公爵夫人の生涯』でスキャンダラスな人生を送った主人公を演じたキーラ・ナイトレイ/渋谷Bunkamura ル・シネマほかにて全国公開中/(C) 2008 BY PARAMOUNT VANTAGE, A DIVIDION OF PARAMOUNT PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのキーラ・ナイトレイが主演した『ある公爵夫人の生涯』が、現在、好評公開中だ。この作品の中で彼女が演じたのは、90年代に衝撃的な事故死を遂げたダイアナ妃の先祖に当たる女性だ。類い希なる美貌を持つ社交家で世界中の人々に愛されながらも、夫だけからは愛されず、夫の愛人との同居を強いられるなど、スキャンダラスで悩み深い生涯を送った公爵夫人ジョージアナ・スペンサー。奇しくも、ダイアナ妃の結婚生活にも重なる人生を生きた“先祖”を演じたキーラと、その夫を演じたレイフ・ファインズが、映画について、そしてセレブ報道のありかたについて語った。

舞台となるのは18世紀後半のイギリス。ファッションリーダーでもあるジョージアナがセレブとして注目される様子は、現代と全く同じに見える。そのことについてキーラはこう語る。

「彼女は様々な魅力を持っていたわ。ファッションリーダーで、政治的にも強い影響力を持ち、まさに当時を代表するセレブ。いろいろなことを書かれて追いかけ回され、噂され、新聞に載ったりした。そういうセレブリティ文化は現代的な現象だと思っていたけれど、何百年も前からあったなんて興味深いわ」

彼女自身も現代のセレブの1人だが、セレブ報道のあり方についてはどう感じているのだろうか。

「私自身は、スクリーンに出てくる俳優のプライベートは知りたくないのよ。(私生活が報道され過ぎると)作品のイメージを壊しかねないわ。ただ、メディアへの露出が必要な時はもちろんあるわ。様々な情報にあふれている現代では、特定の映画の存在を知ってもらうことは至難のワザ。だから、『こんな映画よ、見に来て』って自分から呼びかけないといけないの。でも、(私生活を)知られ過ぎると、幻滅されて作品は台無し。もし私がメチャクチャな結婚生活をしていたり薬物依存症だったりしたとして、同じような作品で私を見たら、興味が失せるでしょ? 映画を楽しむためには、俳優個人について知りすぎない方がいいと思うわ」

一方、レイフは、かつてと今の、セレブのあり方について考えを述べた。

「今の人々は、セレブの過激な行動を期待しているところがある。それが刺激をくれるからで、だからこそゴシップ番組が人気を集める。(ゴシップ報道を通じて)セレブの弱みを公(おおやけ)にしていくんだ。そういう時にこそ、礼儀や品位が問われてくるわけだけど、18世紀当時のセレブ文化では、今よりももっとセレブらしさが求められたと思う。ウィットやスタイル、身だしなみ……。特に、ウィットが一番大切だったと思うよ。ユーモアのセンスや表現力、トータルな人間力こそが、セレブの条件だったんだ」

彼が演じるのは、主人公の夫である公爵。現代的な感覚でいうと、かなり冷淡な性格に思えるが……。

「彼は感情を表に出さない抑圧された男で、そこに役としての魅力を感じたんだけど、感情がないわけじゃないんだ。当時の文化と言うべきか……あの時代は、『男は感情を見せるべからず』と思われていた。必要なのは、礼儀正しさや快活さ、文筆・乗馬・狩りの技術、議会での演説能力などだった。確かに公爵の場合は極端なケースだけど、感情はあるんだ。僕は、感情的に不器用な男たちには、なぜか憧れを感じるね」

ジョージアナの豪華な衣装も見どころのひとつだが、信じられないほど高く結い上げた髪型は、キーラに大変な負担を強いたという。

「ウィッグは仕組みがすごくて、鳥かごみたいな感じで内側に金属があり、それを髪で覆っているの。びっくりするほど重いんだけど、中には高さ60cmの上にさらに60cmの羽根がのっていているものもあり、頭で支えるのが不可能な重さだったわ」

そんなキーラを見かねた親切なスタッフが、頭を支えるための木製スタンドを作ったおかげで、彼女はようやく休憩をとることができたそうで、「おかげで首の崩壊を免れたわ」と教えてくれた。

『ある公爵夫人の生涯』は、Bunkamura ル・シネマほかにて全国順次公開中。

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