夏休みにオススメの映画はコレ! アニメから社会派衝撃作まで多様なテーマ揃う

#映画#スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム#トイ・ストーリー4#ライオン・キング#存在のない子供たち

『トイ・ストーリー4』
(C)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
『トイ・ストーリー4』
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『トイ・ストーリー4』
(C)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
『ライオン・キング』
(C) 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
『存在のない子供たち』
(C)2018MoozFilms

お盆休みまっただ中。猛暑を避け、映画館で涼を取りながら味わってほしい作品を紹介する。

夏の公開作ランキング、1位から3位をアニメが独占! 歴代1位の記録も

『トイ・ストーリー4』
見事なエンディングを迎えた前作『トイ・ストーリー3』から9年、思いがけず続編が登場した『トイ・ストーリー4』。前作でおもちゃたちの持ち主だったアンディが大学に進学し、新たにボニーという女の子のもとにいるカウボーイの人形「ウッディ」やスペース・レンジャーの玩具「バズ・ライトイヤー」の冒険を描く。ボニーの一番のお気に入りは、幼稚園の工作で作ったフォーキー。だが、プラスチックの先割れスプーンで出来ているフォーキーは自分のことをおもちゃだと思わず、「僕はゴミだ」と主張し、ついに逃げ出してしまう。ボニーのためにフォーキーを探す旅に出たウッディはかつての仲間ボーや、一度も愛されたことのない人形のギャビー・ギャビーと出会う。
第1作『トイ・ストーリー』(95)から四半世紀近く経ち、当時子どもだった観客も立派な大人世代。だからこそ、広い世界を知って岐路に立つウッディの心情や彼の決断の物語に感情移入できそうだ。

『ライオン・キング』
1994年に公開され、アニメーション作品として全世界観客動員数では『アナと雪の女王』を抑えて史上No.1を誇る『ライオン・キング』が、『アイアンマン』シリーズ、『ジャングル・ブック』のジョン・ファヴロー監督を迎えてフルCG作品として蘇った。物語はオリジナルと同じく、サバンナの王であるライオン、ムファサが悲劇的な死を遂げ、故郷を追われた息子のシンバの成長、帰還して王になるまでが描かれる。毛並みのディテールまでもしっかり再現した映像は、雄大な自然の風景ともども、実写以上にリアルで迫力がある。“自然界の命は大きな環で繋がっている”という「サークル・オブ・ライフ(生命の環)」の思想、砂漠で行き倒れになったシンバを助け、良き仲間となったミーアキャットのティモン、イボイノシシのプンバァたちの「ハクナ・マタタ(くよくよしない)」というモットーは、現代に生きる人々に世代を超えたメッセージとして伝わる。
オリジナル版でマシュー・ブロデリックが務めたシンバの声は『スパイダーマン:ホームカミング』『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にも出演し、テレビシリーズ『アトランタ』では製作・脚本・監督・主演を兼務、グラミー賞で年間最優秀レコード賞などを受賞した「This is America」(チャイルディッシュ・ガンビーノ名義)」のドナルド・グローヴァー。シンバの幼なじみのライオン、ナラをビヨンセ・ノウルズ=カーターが務めるほか、ムファサの声をオリジナルと同じく、88歳になるジェームズ・アール・ジョーンズが登場している。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
夏休みといっても忙しくて長期の遠出は無理。せめて涼しい映画館で気分だけでも味わいたいという人には、まだまだ上映中の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』がおすすめ。主人公のピーター・パーカー/スパイダーマンが親友のネッドやMJと夏休みの研修旅行でヨーロッパに出かける。舞台はアイアンマン亡き後の世界だが、スパイダーマンとしての責務より夏休みを優先したピーターはMJたちとイタリアのヴェネチアに向かう。だが、現地で突如として巨大な人型の水が出現。プラハ、ベルリン、ロンドンと各地をめぐりながら、次々と現れる火や土の巨大な敵と攻防を繰り広げ、ヒーローとしての自覚を深め、一方で恋心を抱くMJへの告白のドラマもあり、青春映画としても秀逸。ジェイク・ギレンホール演じる新登場のキャラクター、ミステリオとの関係も見どころだ。

『存在のない子供たち』
夏休みだからこそ、世界のどこかで今も続いている過酷な現実に目を向けてみてはどうだろう。昨年カンヌ国際映画祭コンペティション部門審査員賞を受賞した『存在のない子供たち』はレバノン出身の女性監督ナディーン・ラバキが中東の貧困と移民の問題に正面から挑んだ一作。ベイルートの貧民街に暮らす12歳の少年ゼインが、出生届も出さずに自分たちを学校にも通わせずに働かせ、妹を強制結婚させようとした両親を相手に裁判を起こす。裁判長に聞かれて「僕を産んだ罪」と両親を断罪する少年がたどってきた、あまりにも苛烈な歩みには言葉を失う。愛情が存在しない血縁はむしろ枷となり、他人との間に信頼や助け合う心、思いやりが育まれていく様が印象的だ。3年間のリサーチでラバキ監督が目撃してきた事実をもとにしたフィクションはリアリティに満ちている。主人公を演じたゼイン・アル=ラフィーア、ゼインが出会う幼子を抱えたエチオピア難民女性を演じたヨルダノス・シフェラウをはじめ、キャストの大半は演じた役と似た境遇にあるノンプロフェッショナルの人々。言葉を失うような厳しい現実に立ち向かい、希望を目指す少年の姿に胸を打たれる。

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