贈るのはノーベル平和賞ではなく俳優キャリア讃える賞、批判抑えA・ドロンに名誉パルムドール授与

#カンヌ国際映画祭

名誉パルムドールを受賞したアラン・ドロン/カンヌ国際映画祭の公式Instagramより
名誉パルムドールを受賞したアラン・ドロン/カンヌ国際映画祭の公式Instagramより

目に涙を浮かべ受賞したアラン・ドロン

フランスを代表する名優で、日本でも根強い人気を持つアラン・ドロンが19日(現地時間)、開催中の第72回カンヌ国際映画祭で名誉パルムドールを受賞した。

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『太陽がいっぱい』、『山猫』、など数々の名作に出演してきた60年にわたるキャリアを讃える賞を、愛娘で女優のアヌーシュカ・ドロンから受け取ったドロンは目に涙を浮かべていた。

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名誉パルムドール授与が発表された直後から、ドロンが過去にした同性婚への反対発言や女性への暴力行為などを問題視して、授与に抗議運動がアメリカで起き、反対署名が2万5000以上集まった。これに対してカンヌ国際映画祭総代表のティエリー・フレモーは「我々が贈るのはノーベル平和賞ではない。俳優としてのキャリアに対する名誉パルムドール」だとコメントした。

83歳にして栄誉に輝いたドロンは「このパルムドール受賞を幸せに思います。この世でたった1つ私が確信を持てること、私が誇りに思えること、それは私のキャリアです」と受賞の喜びを語った。

以前のインタビューで、かなり前から授与の話はあったが、断り続けてきたと明かしたドロンは「監督に受賞してもらいたかったからだ」と説明した。そして映画の撮影をオーケストラに例えて、「私は第一バイオリン奏者で、そこにはカラヤンのような指揮者たちがいた。ヴィスコンティ、メルヴィル、クレマン……、私は彼らのために受賞する」と語った。

受賞スピーチでは「「何が難しいかといえば、それは継続です。私は62年間続けました。いま難しいことは立ち去ることです。私はこれから立ち去るところです。でも、これを言わずして、そして皆さんに感謝せずに去ることはできません」と言い、「もし私がスターなのであれば、それは観客の方々のおかげです。それ以外の誰でもありません。スターを作るのは映画作品でもなく、監督でもなく、観客でしかないのです。皆さんに心より感謝します」と結んだ。

 

この日は受賞を記念して、ドロンが1976年に製作・主演したジョゼフ・ロージー監督の『パリの灯は遠く』が上映された。