2018年に転機迎えたイ・ビョンホン、ハリウッド進出とアジア人気で存在感さらに増す

#韓流#興行トレンド#イ・ビョンホン#それだけが、僕の世界#ミスターサンシャイン#韓国映画

イ・ビョンホンが落ちぶれたボクサーを演じた『それだけが、僕の世界』
12月28日より公開中
(C)2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED
イ・ビョンホンが落ちぶれたボクサーを演じた『それだけが、僕の世界』
12月28日より公開中
(C)2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED
イ・ビョンホンが落ちぶれたボクサーを演じた『それだけが、僕の世界』
12月28日より公開中
(C)2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED
村上春樹の小説をイ・チャンドン監督が映画化した『バーニング 劇場版』
19年2月1日より公開
(C)2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reserved
韓国の民主化闘争の実話をもとにした『1987、ある闘いの真実』 
公開中
(C)2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED
“あの世”を舞台にした人気ウェブ・コミックを映画化した『神と共に(原題)』
19年初夏公開予定
(C)2017 LOTTE ENTERTAINMENT & DEXTER STUDIOS All Rights Reserved.

アジア各国で大人気を博す韓国映画、ドラマ

12月28日からイ・ビョンホンの新作映画『それだけが、僕の世界』が公開された。彼が演じるのは落ちぶれた元プロボクサー。ある日、17年ぶりに別れた母と再会し、サヴァン症候群の弟と3人で暮らしながら家族の絆を深めていく感動作だ。近年の出演作ではヒーローでも悪役でも他者を圧倒する存在感を見せてきたが、本作では一転。パッとしない髪形にジャージ姿で、「どこにでもいそうな兄ちゃん」を見せてくれる。

ユーモラスで泣ける! イ・ビョンホン新境地を引き出した珠玉作を監督/『それだけが、僕の世界』チェ・ソンヒョン インタビュー

ビョンホンといえば2000年初頭に日本で始まった「第1次韓流ブーム」で人気者なった「四天王」(ビョンホン、ペ・ヨンジュン、ウォンビン、チャン・ドンゴン)の1人。日本にも公式ファンクラブがあり、ファンミーティングが今でも毎年行われる息の長い人気を誇る。年配女性のファンが中心だが、新しいファンも増えているようだ。

実は今年、転機となる出来事があった。テレビドラマ『ミスターサンシャイン』への出演だ(日本ではネットフリックスで配信)。テレビドラマへの出演は『IRIS-アイリス-』以来、9年ぶり。近年では韓国映画に加えハリウッド映画への出演作も多く、映画を中心に活動。ドラマ出演は異例のことだ。ただし、『それだけが、僕の世界』の配給元ツインの栃木真理子氏が彼に会った際には「『戦略的に出演作を決めているわけではなく、ハリウッドも韓国も意識していない。映画にこだわっているわけでもない』とおっしゃっていました」(以下、同)という。

『ミスターサンシャイン』がアジア各国で人気を博したことで、イ・ビョンホンは11月28日に韓国で行われた「2018 ASIA ARTIST AWARDS」で俳優部門の大賞を受賞した(K-POP部門の大賞は防弾少年団)。「若手の俳優やアーティストが多い中での受賞で、『イ・ビョンホンはやっぱりすごい』と改めてファンに感じさせたと思います」。

韓国映画は香港、台湾、ベトナム、インドネシア、シンガポールなどアジア各国でも人気といわれる。韓国と同時に公開するため、「アジアジャンケット」(アジア各国のマスコミを招待して俳優や監督の共同取材を行う)や、「アジアプレミア」(アジアのある国へ出演者が訪問してプレミア試写会を実施)が行われる作品も出ているという。「アジア各国で韓国と同時公開するのは、海賊版を防ぐ狙いもあります」。

一方、日本では05年の『四月の雪』『私の頭の中の消しゴム』の大ヒットをピークに、韓国映画で興収10億円超えのヒット作は生まれなくなった。だが、韓国映画の公開本数は17年に42本(外国映画輸入配給協会発表)で、アメリカ193本、イギリス43本に次ぐ本数だ。今年は『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』『1987、ある闘いの真実』がスマッシュヒットし、根強い人気はある。

『それだけが、僕の世界』の配給元ツインでは19年も韓国映画の話題作を公開する。イ・チャンドン監督が村上春樹の短編小説『納屋を焼く』を映画化した『バーニング 劇場版』(2月1日公開)、クォン・サンウのヒット作続編『探偵なふたり:リターンズ』(3月16日公開)、韓国動員歴代2位の大ヒット作『神と共に』(原題、前後編を初夏公開)などが控えている。19年はどんな作品がヒットするか、注目したい。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。