ロンドン五輪演出のダニー・ボイルが『007』監督を降板! クランクイン延期は必至

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『007』監督を降板したダニー・ボイル
『007』監督を降板したダニー・ボイル

昨年10月に発覚したハーヴェイ・ワインスタインのセクハラおよび性暴行について、いち早く被害者として実名で告発したイタリア出身の女優で映画監督のアーシア・アルジェントが、未成年に対する性的暴行で告発された。

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2013年、17歳の時にアルジェントから性的暴行を受けたのは俳優のジミー・ベネット。現在22歳のベネットは2004年、アルジェントが監督・主演した『サラ、いつわりの祈り』でアルジェントが演じた主人公の息子を演じた。その後も子役として活動を続けたが、2013年にホテルでアルジェントから性的暴行を受けたトラウマから仕事に支障をきたし、収入が激減。昨年11月にアルジェントに350万ドルの損害賠償を求めていたことを「ニューヨーク・タイムズ」紙がつきとめ、アルジェントがベネットに対して38万ドルの和解金を支払った事実を8月19日(現地時間)報じた。

報道を受けて、アルジェントは21日に「まったくデタラメの報道を読み、ショックで傷ついています。ベネットと性的関係を持ったことはありません」と完全否定の声明を発表したが、2人がベッドの中で撮った上半身裸のツーショットがゴシップサイト「TMZ.com」に掲載され、何よりも、今年1月に和解金を支払っていることもあり、彼女の言葉に説得力はあまり感じられない。

昨年11月といえば、まさに#Me Too運動が大きなうねりとなり始めた頃だ。ワインスタイン告発の翌月に、ベネットから「法外な額の金銭を要求されたことで友情は終わった」とアルジェントは声明で語り、和解金は当時の恋人でセレブ・シェフのアンソニー ・ボーディンが支払ったと主張した。ボーディンは今年6月に仕事で滞在していたフランスで自殺している。

今年5月にカンヌ国際映画祭でプレゼンターを務めた際もワインスタインを糾弾するスピーチを行うなど、#Me Too運動の第一人者であるアルジェントが加害者として告発される事態に、ともに闘ってきたローズ・マッゴーワンは「アーシア・アルジェントとは10ヵ月前に知り合いました。私たちはハーヴェイ・ワインスタインに襲われたという痛みを分かちあっていました。心が痛いです。私は被害者を代表する仕事を続けていきます」とツイート。#Me Too運動に水をさすのではないかという「ロサンゼルス・タイムズ」紙の報道にアンバー・タンブリンは「この女性のしたことを理由に、タラナ・バーク(「Me Too」運動を立ち上げた活動家)がMe Tooムーブメントのために20年費やした仕事を無にすることはできないわ。そんなこと考えるもんじゃないわ」とツイートした。

TMZはその後、アルジェントと友人のメールのやりとりを入手、そこではアルジェントが「彼とセックスしたけど、変な感じだった。ゆすりの手紙が送られてくるまで、彼が未成年だとは知らなかった」と主張、イタリアとフランスでは15歳が性的同意年齢であり、自分が17歳の時には33歳の男性とつき合っていたと明かしているが、カリフォルニア州では性的同意年齢は18歳であり、メールに書かれた通りであれば、彼女は違法行為をしたことになる。アルジェントは一連のやりとりの中で「もし失業したら、アフリカかアマゾンの深林に行く。こんなくだらないことに興味を持たない人たちが9割という世界で過ごしたい」と話している。

失業ではないが、『007シリーズ』最新作の監督を降板したのはダニー・ボイル。ダニエル・クレイグの続投が決定したシリーズ第25作の監督として、同シリーズの制作を手がけるイーオン・プロダクションズのバーバラ・ブロッコリとマイケル・Gウィルソンが5月にボイルの起用を発表していたのだが、同シリーズのTwitter公式アカウントは21日(現地時間)に「マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ、ダニエル・クレイグは本日、ダニー・ボイル監督が創造性の違いを理由に『ボンド25』を降板することを発表します」とツイートした。

『トレインスポッティング』やアカデミー監督賞に輝いた『スラムドッグ$ミリオネア』、オスカー候補作になった『127時間』などを手がけ、2012年ロンドンオリンピックの開会式の演出を担当し、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役で登場してエリザベス女王をエスコートする演出をやってのけたのは記憶に新しい。

シリーズ25作目は2019年11月公開予定で、撮影は今年12月からスタートとされてきたが、現時点では新しい監督はまだ決まっておらず、クランクイン延期は必至とみられている。

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