『デスノート』最新作までの10年! 失敗・解散を経て成功を手にしたワーナーの道のり

#ビジネス#興行トレンド

『デスノート Light up the NEW world』
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
『デスノート Light up the NEW world』

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS
『デスノート Light up the NEW world』
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『デスノート Light up the NEW world』
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

10月29日から公開される『デスノート Light up the NEW world』は、月vs Lの死闘から10年後を描く続編だ。06年に2部作で公開された『デスノート』は今年が10周年にあたるが、配給を手掛けたワーナー・ブラザースが邦画の製作・配給に乗り出して10周年でもある。ワーナー邦画10年の道のりを振り返ってみたい。

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実はワーナーが邦画の製作・配給に最初に乗り出したのは98年にさかのぼる。ワーナーは同年に日本テレビと東芝の出資で製作会社トワーニを設立する。2000年に『さくや妖怪伝』、03年に『ドッペルゲンガー』『天使の牙B.T.A.』を製作するも興行的な不振から、04年『キューティーハニー』を最後に解散する。

だが、06年にワーナー本体で邦画事業を再スタート。フジテレビが製作したアニメ映画『ブレイブストーリー』と、日本テレビが製作した『デスノート』で邦画の配給に乗り出す。07年には、フジテレビでドラマ『ラブジェネレーション』や映画『ブレイブストーリー』などをプロデュースした小岩井宏悦氏をローカルプロダクション本部長(現在は邦画事業部本部長)としてヘッドハンティング。以降、配給ばかりではなく、他社との共同製作や自社の企画製作に力を入れていく。

 『デスノート』シリーズ以外で興収20億円を最初に超えたのが12年『るろうに剣心』(興収30.1億円)だ。しかもワーナーが自社で企画製作した作品で、製作体制がようやく軌道に乗ってきた証といえる。その後も自社製作で14年に『るろうに剣心/京都大火編』(52.2億円)、『伝説の最期編』(43.5億円)を大ヒットさせたり、15年に日本テレビ製作の『ヒロイン失格』を興収24.3億円の大ヒットに結びつけるなど、邦画事業のノウハウは着実に蓄積されている。

 邦画事業強化の一環として、15年にはTBSの映画事業の責任者として事業部長やスペシャリスト局長を歴任した濱名一哉氏、16年にはフジテレビで『ハッピーフライト』などをプロデュースした関口大輔氏をヘッドハンティング。16年末から17年にかけて2人がプロデュースする作品がお目見えしそうだ。

 今年の邦画実写ラインアップは『僕だけがいない街』『テラフォーマーズ』『オオカミ少女と黒王子』『デスノート』『ミュージアム』の5本だが、来年は6本。オフィス北野との共同配給『愚行録』、韓国映画のリメイク『22年目の告白-私が殺人犯です-』、木村拓哉主演のマンガ原作の時代劇『無限の住人』、人気マンガを小栗旬主演で映画化する『銀魂』、人気マンガの映画化を東宝と共同配給する『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』、人気マンガの映画化『鋼の錬金術師』。特に『ジョジョ』は東宝と初めての共同配給で、来年の年間ナンバーワンヒットを狙う大作。シリーズ化を視野に入れて撮影が進んでいる。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。