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『アイネクライネナハトムジーク』恒松祐里インタビュー

目力が魅力! 注目若手女優が、反抗期真っ盛りの女子高生役に共感

『アイネクライネナハトムジーク』恒松祐里インタビュー
私もお父さんにだけ少し強いところがあるから、けっこう自分とシンクロできた

『アイネクライネナハトムジーク』
2019年9月20日より全国公開
(C)2019「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会
「お芝居って、表面的なことをしているように見えるんですけど、実は奥の方に目に見えないものがあるんですよね」。そう語るのは、映画やドラマで着実にキャリアを重ねている20歳の若手女優・恒松祐里だ。

伊坂幸太郎による同名小説を、今泉力哉監督が三浦春馬と多部未華子共演で映画化した『アイネクライネナハトムジーク』にも出演し、反抗期真っ盛りの女子高校生を演じている。

そんな恒松に、役柄への共感や現場で印象に残ったできごと、そして女優として見出し始めているという「芝居の本質」への思いや、忙しい日々における癒しなどについて語ってもらった。


──反抗期真っ盛りの女子高生・美緒(みお)という役どころでしたが、今回のキャラクターを演じるうえでは、どんな部分を楽しめましたか?

恒松:私もお父さんにだけ、少しあたりが強いところがあるんです。けっこう自分の性格とシンクロできたので、素のままで演じた部分もありました。素敵な家族なんですけど、矢本悠馬さん演じるお父さんが、本当に面白くて(笑)。それにつっこみを入れるお母さんを演じる森絵梨佳さんも、いい意味での緊張感を持ってお芝居されていました。そんなお二人のコントラストを横で見ながら、自分も交われるのがすごく楽しかったです。家族のシーンは1日くらいしか撮影がなかったんですけど、すごく自然体でいることができて、楽しむことができましたね。

──そんな短い時間で撮ったとは思えないくらい、自然な家族のお芝居でした。矢本さんはアドリブも積極的に入れる俳優さんだと聞いているのですが、いかがでした?

恒松祐里
恒松:本当に個性的なお父さんの役なんですけど、守りに入っていなくて、矢本さんが一番自由に「攻め攻め!」で動いていたのが、すごく印象的でした(笑)。撮影現場って、やっぱり「今から撮影するぞ!」というきっちりしたイメージがあると思うんですけど、矢本さんは現場にいる誰よりも自由というか、力が抜けた状態でその場にいらっしゃるんです。それがすごく印象的で、その空気を見て「ああ、美緒がお父さんを嫌になるんだな」と感じました(笑)。矢本さんが嫌というわけじゃなくて、お芝居の上で「なんでこんなにこの場所でだらしないの」と感じながらやっていました(笑)。

──お父さんの立場が弱い家庭って、割と多いような気がします。

恒松:けっこう、“あるある”なお家の形だと思うんですよね。お父さんがだらしなくて、母と娘で協力して、お父さんを責めるみたいな構図ができている。それって、私の家でもちょこちょこあったことなので。「もうまったく。お父さんたら」と、お母さんと娘が同じセリフを言うのが、すごく微笑ましかったというか、共感できましたし、矢本さんのお芝居はとにかく自由でした。本当に自由。

──そんな矢本さんが醸し出す自由さを、ご自身のお芝居にも取り入れてみたいと感じました?

恒松祐里
恒松:感じました。この作品では、美緒の同級生・久留米和人を演じた萩原利久くんとお芝居している駐輪場のシーンがあるんですが、外で撮影することが少なかったんですよね。なので、自転車に乗って自由に動けるシーンの時はかなり楽しんじゃって、監督から「楽しみすぎ」って怒られました(笑)。クランクアップしてからも言われちゃって(笑)。実際に映像で見てみたら「あれ、意外と大丈夫だったけどなあ」と思いながらも「楽しみすぎ」って言われちゃったので「自由さはほどほどに」って思いました(笑)。でも、自然にお芝居することができました。

──メガホンを執った今泉力哉監督の演出は、どんな面で興味深かったですか?

恒松:役者のお芝居や空気感に委ねてくださるんです。例えば、美緒がお母さんと、お父さんのことをリビングで二人きりで語るシーンでも、役者がお芝居しているのを陰から温かく撮ってくださる監督だなと、すごく感じていました。どんなシーンでも、アップで撮るというよりも、少し引いて、その生活を覗いているというような演出が多いんです。
 今泉監督の撮影では、シーンの台本の最初から最後までを、何回も通してやるんです。撮影では大体、カットが変わると時間を短縮するために、シーンの途中の台詞から撮影が始まることが多いんですけど、今泉監督はその前の台詞から始めてくださるので、役としての気持ちがすごく自然に流れていけるような、そういう現場を作ってくださった監督でした。あと、こだわる絵だったり遊び心とかは、監督からアイデアを出してくださったりしていましたね。

──確かに引きの構図が多用されていて印象的でした。物語では、登場人物それぞれの出会いが軸になっていますが、どんな魅力を感じていますか?

恒松祐里
恒松:出会いという本題もそうですけど、自分が演じた美緒から見ると、この作品では大人たちが悩んでいて、そんな大人たちに美緒が一言ズバッと言っていく部分があるんですよね(笑)。高校生という純粋な世代だからこそ、その世代パート(=高校生パート)がちゃんと描かれていることが、すごく素敵だと思うんです。そうしているからこそ、美緒の純粋な目で見た大人たちの姿や、長く生き過ぎることでどんどんこんがらがっていった大人たちとの差を、美緒という役を通して、大人に気付かせてあげられたり。
 そういう立ち位置でお芝居できたのが、自分にとってもすごく大きかったです。美緒パートでも出会いが描かれていたのは、自分の中でときめきポイントというか、すごく素敵な役だなあと思いましたね。でも、美緒からしたら悔しいのが、本人は何も考えずにこの作品の軸を持っているのが、お父さんなので(笑)。そこが美緒としてはちょっとむかつくところですかね(笑)。

──出会いが軸になっている物語ということで、恒松さんとお芝居の出会いについてもお聞きしたいです。

恒松:一回目の出会いは、事務所のレッスンだと思いますね。最初は、小学校一年生になる前、7歳くらいの時に事務所に入って、レッスンを受けるようになって、お芝居をしていって今に至るんです。最近また新たな出会いというか、二回目のお芝居への出会い、お芝居の本質との出会いのような経験をしています。お芝居って、表面的なことをしているように見えるんですけど、実は奥の方に目に見えないものがあるんですよね。人もそうだと思うんですけど。最近、そういうところに触れる機会が多くて、この出会いがすごく面白くて、まだまだ探検していたい気持ちです。

──その出会いは、作品で? それともレッスンで?

恒松:個人で受けたワークショップや歌のレッスンでのことなんです。最近、色々な先生に出会うことが多くて、レッスンをしていく中で感じたことですね。

──では、最初にお芝居の楽しさを実感したのは?

恒松:小学生の頃から楽しい気持ちはあったんですけど、お仕事という感覚は、あまりなくて。お仕事としての楽しさを覚えたのは、映画『くちびるに歌を』の時ですかね。初めて大きな役をいただいて、一か月半、五島列島という島に泊まりきりで生活していました。同世代の子も多かったですし、次の日のお芝居のことを考えたり、現場っていうものを初めてちゃんと見た作品だった気がしているんです。高校一年生の時の見え方ですけど、大人たちが切磋琢磨して素敵な作品を作り上げていく姿に、すごく心を奪われて「私もここにいたい」と思ったんです。

──本作の劇中では、ボクサーのウィンストン小野(成田瑛基)がキャリアを考え直すシーンがあります。恒松さんは女優業において、悩みを抱えたり後ろ向きになってしまった経験がありますか?

恒松:最近は映画への出演が多くて、久しぶりに『都立水商!〜令和〜』というドラマに出演したときに、ドラマ的なお芝居というか、求められるものを出すのが難しかったんです。映画だと、その役として立って、カメラマンさんが映し出してくださって、そうして自然に浮き出てきたものが映像になっていくということが多かったんですけど、ドラマだと自分から発しなきゃいけない色や形があったりして、それがすごく難しかったんです。後ろ向きというよりも、一つの壁に当たったんですよね。ドラマへの出演は、1年〜1年半ぶりくらいだったと思います。

──壁に当たったり、お芝居の本質を垣間見たりと、ここ最近で女優として得たものは大きいですか?

恒松:大きいですね。お芝居の本質を垣間見たのが、ドラマで壁に当たった後のことなんですけど、お芝居をより知ることができたから、その壁も乗り越えられる気がしますし、今は楽しみの方が大きいんです。自分から滲み出るものが「いい!」って言ってもらえるような女優さんになりたいですね。分かりやすいお芝居もですけど、本質をどんどん追求していくことで、表面だけじゃなくて、その表面から出てきてしまった底の部分が、じわっと滲み出るような女優さんになりたいなと思っています。

(2019/09/20)


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恒松祐里
つねまつ・ゆり

1998年10月9日生まれ、東京都出身。子役としてドラマ『瑠璃の島』(05年)などに出演。成長後はNHK連続テレビ小説『まれ』(15年)、NHK大河ドラマ『真田丸』(16年)などに出演。19年は、6月に『凪待ち』、7月に『いちごの唄』が公開、今後も『殺さない彼と死なない彼女』(11月15日公開予定)、『酔うと化け物になる父がつらい』などの出演映画公開が控えている。

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