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『世界の涯ての鼓動』ヴィム・ヴェンダース監督インタビュー

長編監督50周年! 70年代から活躍し続ける巨匠が壮大な愛を描く

『世界の涯ての鼓動』ヴィム・ヴェンダース監督インタビュー
どうしたらいいかわからない時こそ、試してみる価値がある

『世界の涯ての鼓動』
2019年8月2日より全国順次公開中
(C)2017 BACKUP STUDIO NEUE ROAD MOVIES MORENA FILMS SUBMERGENCE AIE
『ゴールキーパーの不安』でヴェネツィア国際映画祭映画批評家連盟賞を受賞するなど、70年代から活躍し続ける巨匠ヴィム・ヴェンダース監督。『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などの話題作を手がけてきた彼の最新作『世界の涯ての鼓動』が公開中だ。劇中では、爆弾テロを阻止しようと動く諜報員の男と、深海で生命の起源を探る生物数学者の女性、運命的な恋におちた2人の愛の行方が描かれていく。

『リリーのすべて』でアカデミー賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデルと、『X-MEN』シリーズのジェームズ・マカヴォイが共演した本作についてヴェンダース監督が語った。


──本作を監督することになった経緯を教えてください。

『世界の涯ての鼓動』撮影中のヴィム・ヴェンダース監督(左)とジェームズ・マカヴォイ(右)
監督:オーストラリアの新進気鋭のプロデューサー(キャメロン・ラム)が僕に会いに来て、「これをどうしても映画化したい」と、原作小説「サブマージェンス」を渡してくれた。読んでみたら、恐ろしささえ感じる小説だったよ。
 とにかく素晴らしいと思った。こんな小説は読んだことがないし、映画にする方法も思いつかなかった。でもそれは私にとっていい兆候なんだ。どうしたらいいかわからない時こそ、試してみる価値があるからね。
 まず、物語の背景に興味を引かれた。作者は、バッググラウンドをしっかり調査して書いている。東アフリカやスンニ派の過激組織、ソマリアの情勢や人質のこと、そして深海探査についてなど、作者の知識から学ぶことがとても多かったよ。この小説を読むと、深海探査が重要であることが良く分かる。海底の調査は、地球が抱える問題の解決策につながるはずだ。

──危険な任務を担う2人の愛が心を震わせます。

監督:主人公2人の人物造形は原作でもすばらしく、エリン・ディグナムの脚本でさらに魅力が増した。MI-6の諜報員であることを隠し水道事業の指導者と名乗る男、ジェームズ・モア(ジェームズ・マカヴォイ)と、若い大学教授の女性、ダニー・フリンダース(アリシア・ヴィキャンデル)。私としては、ジェームズに共感するところが多いね。
 この2人は愛し合っている。お互いが運命の人であると気づいているが、それぞれ全く異なる分野に、深く心を捧げている。とても現代らしい題材で、ぜひ彼らを映画で描いてみたいと思った。

──ジェームズ・マカヴォイとアリシア・ヴィキャンデルとのお仕事はいかがでしたか?

『世界の涯ての鼓動』撮影中のジェームズ・マカヴォイ(左)とヴィム・ヴェンダース監督(右)
監督:ジェームズ・マカヴォイは、あの年代ではトップクラスの俳優だ。すばらしい演技を見せてくれる。『ラストキング・オブ・スコットランド』(06年)はお気に入りの作品だよ。これまでに彼は、スーパーヒーローを含めあらゆる役に挑戦している。バラエティーに富んだ役柄を演じていて、心の機微を表現する役もしっかりと演じられる役者だ。彼ならやってくれるとわかっていた。私的な感情を表現することができて、心に響く演技ができるんだ。
 アリシア・ヴィキャンデルは、しっかり準備をしてこの海洋生物数学者の役に臨んでくれた。アリシア演じるダニーは、20代ながら豊かな知性に恵まれ、大学教授の職を得て重要な研究に取り組んでいる。意欲的に研究に打ち込み、深海へ探査に出かけることも恐れない。そんなダニーに全力で取り組んでくれる俳優を探していて、アリシアはまさに適役だった。そして、当初からこの役にはアリシアを想像していたんだ。カリスマ性があり、美しく聡明で、カメラを虜にする力があるからね。

──深海シーンでは、フランス海洋開発研究所の協力があったそうですね。

『世界の涯ての鼓動』
(C)2017 BACKUP STUDIO NEUE ROAD MOVIES MORENA FILMS SUBMERGENCE AIE
監督:本作の撮影のために、フランスの国立研究機関に協力を求め、フランス海洋開発研究所(IFREMER)で、アタラントという名の船と潜水艦を借りた。IFREMERは、本作と同じ研究をしている唯一の機関だ。
 黄色い潜水艦「ノチール」は、セットを作って撮影したんだ。ビートルズの歌に出てくるイエローサブマリンによく似ているよね。

──「バラエティ」誌の「注目すべき10人の撮影監督」にも選出されたことのあるブノワ・デビエが撮影を担当していますね。

監督:彼とは前に仕事をしたことがあって(『誰のせいでもない』『アランフエスの麗しき日々』)、なんにでも挑戦する撮影監督だと分かっていた。過去にはかなり危険な撮影もこなしているよ。彼はギャスパー・ノエとの仕事も多く、『LOVE【3D】』『アレックス』も撮影しているんだ。
『世界の涯ての鼓動』の撮影場所は、バラエティーに富んでいた。過酷な条件の場所もあったから、冒険好きの撮影監督が必須だった。そこで、ブノワ・デビエにお願いしたんだ。彼しかいないと思ったよ。

(2019/08/08)


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ヴィム・ヴェンダース
Wim Wenders

1945年8月14日生まれ、ドイツ出身。67年より映画監督の活動をスタート。『アラバマ:2000光年』(69年)等の短編映画8本を製作した後、『都市の夏』(70年)で長編監督デビュー。『都会のアリス』(74年)、『まわり道』(75年)、『さすらい』(76年)がロードムービー3部作として高い評価を得た後、『ことの次第』(82年)でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、『パリ、テキサス』(84年)ではカンヌ国際映画祭パルムドールを獲得。次いで『ベルリン・天使の詩』(87年)でカンヌ国際映画祭監督賞を、その続編『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース』(93年)でカンヌ国際映画祭審査員グランプリを受賞。さらに、音楽ドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99年)が世界的に絶賛され、『Pina/ピナ・バウシュ 躍り続けるいのち』(11)がアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされる。その他、『アメリカの友人』(77年)、『東京画』(85年)、『夢の涯てまでも』(91年)、『エンド・オブ・バイオレンス』(97年)、『ミリオンダラー・ホテル』(00年)などを監督。

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