『プンサンケ』チョン・ジェホン監督インタビュー |
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38度線を飛び越えてソウルとピョンヤン間を往復し、3時間以内にどんなものでも配達する謎の男が、亡命した北朝鮮元高官の愛人イノクをソウルに連れていくという依頼を受けたことから始まる壮絶な旅を描いた『プンサンケ』。
一言も喋らず、出自もわからない男は吸っている北朝鮮製の煙草「豊山犬(プンサンケ)」の名で呼ばれていた。命がけで軍事境界線を超えたプンサンケとイノクの間に芽生える言い知れぬ感情、彼らをめぐって攻防を繰り広げる韓国情報員と北朝鮮工作員の攻防を通して、分断国家に強烈なメッセージを放つ脚本を手がけたのは世界三大映画祭を制した韓国の名匠、キム・ギドク。監督は製作総指揮も兼任した彼のもとで助監督を務めてきた新鋭、チョン・ジェホン。
南北分断の不条理な現実と悲劇を描く衝撃作について話を聞いた。
監督:キム・ギドク監督から「これをやるか」と脚本が送られてきたとき、まず「1日だけお時間ください」とお答えしました。素晴らしい脚本だけど、本当に僕にできるのかと悩みました。しかも、1日時間をくれると言ったのに、4時間後に「やるのか、やらないのか、まだ決められないのか」と電話がかかってきた(笑)。もう「やります」と答えるしかなかったです。
監督:南北問題です。韓国という国に住んでいながら、今もまだ戦争中なんだということをあまり意識しない状態でいるから。オーストリアに留学中、初めて北朝鮮の人と会ったんですけど、想像していた彼らとは全然違っていた。幼い時から“赤い顔をした鬼”みたいな教育を受けていたんです。そこは全く違うし、さらに驚いたのは、同じ場所にいても話せない、会話ができないということです。それが分断国家の現実なんだなと感じました。だから、そういう映画だったら、ぜひ1回やってみたいとは思っていた。
監督:脚本を読んですぐに思い浮かんだのが、ユン・ゲサンさん。彼が歌手だったことは全く知りませんでした。彼が歌手だった頃、僕はオーストリアにいたので。
彼を知ったのは、『執行者』(09年)という作品です。それを見て、彼ならプンサンケをやれるんじゃないかと思った。でも、みんなに反対されました。「彼では柔らかすぎる」みたいに言われて。コメディとかロマンスの方が合うと思われていた。でも、彼はアクションや感情的な演技もできる。多くの才能を持っている人です。僕自身は、以前やった作品のイメージにこだわるのはばかげていると思うタイプなんです。僕は『ビューティフル』(08年)で長編デビューした後、アート系作品をやる人だと言われたことに違和感がありました。ユン・ゲサンさんも、定着したイメージから脱出したいと考えていらっしゃったし。最初のミーティングのとき、彼が僕の抱いていたプンサンケのイメージとピッタリでびっくりしました。
映画公開後に韓国のメディアでは“ユン・ゲサンの違う部分が見えた“みたいに騒いだけど、僕にしてみれば、その反応は逆に笑える(笑)。
監督:キム・ギュリさんとは一度仕事をしてみたいと思っていました。『ビューティフル』のときも出演を打診しましたが、都合がつかずダメでした。今度も、直前にほかの作品の撮影があり、難しいかもしれないと言われたけど、クランクイン1週間前にその撮影が終わって、出演してもらえました。だから、本当に感謝しているんです。5日間しか準備期間がなくて入ってきたのに、すごくよくやってくれていました。
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チョン・ジェホン
ちょん・じぇほん
1977年生まれ。韓国美術界の巨匠キム・フンスの孫で、幼い頃に絵を学び、高校では声楽を専攻。その後大学で経営学を学ぶ。 キム・ギドクの作品に衝撃を受けた彼は、ギドクに会うためアポなしでカンヌに渡る。それが縁となり、ギドク監督作『絶対の愛』(06年)、『ブレス』(07年)の助監督をとつめる。07年、短編映画『Mul-Go-Gi(原題)』が批評家の関心を集め、第64回べネチア国際映画祭に招請。08年には、長編デビュー作となった『ビューティフル』が第58回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門、第10回ドーヴィル・アジア映画祭オフィシャルコンペティション部門に正式招請され、 第22回福岡アジア映画祭では最優秀作品賞を受賞。キム・ギドクが見出した、今後が期待される若手監督のひとり。 |
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2012年8月18日よりユーロスペースほかにて全国順次公開
[製作総指揮]キム・ギドク
[監督]チョン・ジェホン
[脚本]キム・ギドク
[撮影]イ・ジョンイン
[出演]ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス
[原題]豊山犬
[DATA]2011年/韓国/太秦/121分
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