『崖っぷちの男』サム・ワーシントン インタビュー

高層ビルでの演技に挑んだ高所恐怖症のアクションスター

#サム・ワーシントン

高い所が怖いというよりも、落ちるのが怖いんだ

ニューヨークの高層ビルを舞台に展開する手に汗握るアクションサスペンス『崖っぷちの男』。ビルから飛び降りようとする男が、自らの命と引き替えに、ある目的を果たそうとする姿を描いた作品だ。

横領犯として逮捕され、脱獄を図った男と、自殺を食い止めようとする女刑事との緊迫したやりとりがスリリングだが、この「今まさに飛び降りようとする男」を演じたのは、『アバター』でブレイクしたサム・ワーシントン。アクションスターとして堂々たる地位を築いた彼に、話を聞いた。

──高層ビルを舞台にした本作に主演したわけですが、高所恐怖症だそうですね。

ワーシントン:本当にバカだったよ。高い所が怖いというよりも、落ちるのが怖いんだ。特に、地面に落ちるのが怖い。約60mの高さなら、誰でも怖いと思うよ。この映画の撮影で怖さを克服してみたいと思ったんだ。

──高層ビルの縁での撮影が多かったそうですね。やはり怖かったですか?

ワーシントン:すごくね。毎日、手のひらに汗をかいて、油断できなかった。ただ、最初は不可能だと思ったこともやり遂げられたんだ。映画の最初のほうで、僕が実際に初めて出っ張りに出たときのことだよ。泣き出して胎児のように身体を丸めたりせずにすんでラッキーだったよ(笑)。そのうち、僕もカメラスタッフもビルの縁での撮影に慣れていって、予想していたよりもいろいろなことができたから、映画の大半を、ビルの縁で撮影できたんだ。

先がある程度読めるシンプルなアクション映画が好きなんだ
(C) 2011 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

──アスガー・レス監督はドキュメンタリー出身の監督で、今回が初の長編映画ですが、いかがでしたか?

ワーシントン:監督は常にカメラを回していたから、やり直しもしやすかったよ。僕たちに指示をするというよりも、僕たちの演技を観察するタイプだったよ。

──役を演じる上で大変だったことはなんですか?

ワーシントン:僕は、この映画のように、先がある程度読めるシンプルなアクション映画が好きなんだ。ビルの縁のドキドキするシーンよりは、カーチェイスとか身体を使ったシーンが気に入っている。ビルの縁のシーンをダイナミックに見せるのは難しかったよ。

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──主人公との交渉役である女刑事(エリザベス・バンクス)とのやりとりが秀逸でした。

ワーシントン:エリザベスの出演作はとても好きだよ。ラッセル・クロウと共演した『スリーデイズ』も素晴らしかったし。彼女はシニカルなユーモアのある人だけど、人間としての重みもある。優れた女優としての素質に満ちてるよ。
 彼女とは、台本を一緒に読みながら役作りしていった。2人は、崖っぷちの緊迫した状況でも、気を引き合ったり会話を楽しんだりできる関係なんだ。エリザベスは美しい人だよね。僕はまあまあだけど、多少、いけてるときもある(笑)。観客は2人のやりとりを見て、それぞれの役を気に入ってくれるはずだよ。

サム・ワーシントン
サム・ワーシントン
Sam Worthington

1976年8月2日、イギリスに生まれ、オーストラリア国立演劇学院に学ぶ。地元での舞台やテレビへの出演を経て、オーストラリア映画『タップ・ドッグス』(00年)で映画デビュー。『ジャスティス』(02年)でハリウッドに進出。『007/カジノ・ロワイヤル』(06年)のジェームズ・ボンド役の最終候補になるも落選。09年に『アバター』の主演に抜擢されブレイク。

サム・ワーシントン
崖っぷちの男
2012年7月7日より丸の内ルーブルほかにて全国公開
[製作]ロレンツォ・ディボナヴェンチュラ、マーク・ヴァーラディアン
[監督]アスガー・レス
[脚本]パブロ・F・フェンヤヴェシュ
[出演]サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、エド・ハリス、ジェイミー・ベル、アンソニー・マッキー、エド・バーンズ、タイタス・ヴェリヴァー、ジェネシス・ロドリゲス、キーラ・セジウィック
[原題]MAN ON A LEDGE
[DATA]2011年/アメリカ/ウォルト・ディズニー/102分
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