ムビコレFacebookムビコレtwitterムビコレYoutubeムビコレニコニコ動画

映画・DVDの最新ニュース・予告編・動画は[ムビコレ]

『娘よ』アフィア・ナサニエル監督インタビュー

今も続く少女と老人の強制結婚を描いた女性監督

『娘よ』アフィア・ナサニエル監督インタビュー
パキスタンで起こった実話を映画化

『娘よ』
2017年3月25日より公開中
(C)2014-2016 Dukhtar Productions, LLC
パキスタン、インド、中国の国境にまたがるカラコルム山脈。その麓に暮らす若き母アッララキは、10歳の娘を連れ、村を離れることを決意する。捕まれば死が待つ危険な行動に彼女を駆り立てた理由とは……?

部族間のトラブルを解決するために、本人の意思とは関係なく年老いた長老との結婚が決められてしまった娘と、娘の人生を変えるために決死の覚悟で逃げ出した母。パキスタンの村で起きた実話をもとに作られた本作は、クレテイユ国際女性映画祭観客賞を始め、ソノマ国際映画祭最優秀作品賞など数多くの賞を受賞。世界各国で高い評価を得ている。

パキスタンに生まれ、本作が長編劇映画監督デビュー作となるアフィア・ナサニエル監督に話しを聞いた。


──困難の末に完成した作品だと聞きましたが、このような、ある種、危険な物語を作ろうと思ったきっかけはなんでしょうか?

『娘よ』
(C)2014-2016 Dukhtar Productions, LLC
監督:私はパキスタンで、女性がとても強い家系に生まれ育ちました。私の家族の女性たちは、少しでも明るい未来が子どもたちに訪れることを願い、困難な人生に耐え、強く生き抜いた人たちです。そして私は、家父長制が根付く社会で、日常的に女性が虐げられ苦労するのを見てきました。男性不在の世帯は、社会においてだけでなく、地域住民からも非難の対象になります。女性は男性なくして存在することが許されないからです。
 この映画の構想は、パキスタンのある村で起こった実話に触発されています。子どもの人生のために母親が娘2人を連れて村を出るという出来事でした。

──強いられた結婚に抗った母娘は、トラック運転手に助けられながら逃亡を続けます。登場人物のキャラクターを、どのように肉付けしたのか教えてください。

監督:『娘よ』の物語は私自身と深く共振しているのです。ニューヨークのコロンビア大学で映画監督学を学んでいる時、本作の脚本を書き始めました。母と娘の物語を書きたかったのです。母と娘が逃亡する中、母親がいかにして自身と娘を守ろうとするのかという状況を描きたかったのです。私の中の“作家”が家とのつながりを、そして私の中の“さすらい人”がアッララキのキャラクターを作り出しました。彼女に娘との新たな人生を求める自由を与えることができたのは、このためだと思います。そして私は、三番目に重要な登場人物、トラック運転手を描き始めました。元ムジャヒディンの彼は主人公にとって愛の対象となり、かつ葛藤を生むとても重要な存在です。報われない愛、禁断の愛。愛は、パキスタンの詩や言い伝えの中でも語られています。愛と喪失は常に隣り合わせです。
 この映画は、愛と喪失につき、幻想的リアリズムという装置を通して語ることで、我が国の伝統文学に根ざした愛と勇気の物語を探求したつもりです。

(2017/03/27)


【関連記事】



アフィア・ナサニエル
Afia Nathaniel

1974年8月28日、パキスタン西北、アフガニスタンとの国境に近い大都市クエッタに生まれる。ラホールの大学で学び、国際機関で数年働いた後、2006年、米国コロンビア大学大学院映画学科を卒業。コンピュータ・サイエンティストから映画製作の道を歩むようになった独自の経歴の持ち主である。数本短編発表後、長編劇映画監督デビューである本作『娘よ』で、2015年米国アカデミー賞外国語映画賞部門のパキスタン代表作に選ばれる。現在はコロンビア大学でシナリオライティングの教鞭を取り、ニューヨークを拠点に、アメリカとパキスタンで監督志望の学生の指導にもあたっている。

MOVIE Collection