『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』満島真之介インタビュー

オープンマインドな注目若手を直撃!

#満島真之介

標準語は外国語を話しているような感じだった!

2020年、東京オリンピックの3日前に起きたある事件をきっかけに、居眠りの多い女子高生・ココネは不思議な旅へと出発した! 人気クリエーター・神山健治が監督した『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』は、夢をモチーフにしたファンタジックなアニメーションだ。

NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』なので国民的人気を博した高畑充希がココネの声を務めているのも話題の一つ。そして、ココネと共に旅をする理系オタクの大学生の声を担当しているのが、最近メキメキと頭角を現している注目若手・満島真之介だ。ムビコレでは、そんな彼に映画について語ってもらった。

──本作では、主人公ココネの幼なじみで、理系オタクの大学生・モリオを演じています。オファーがきた時の心境を教えてください。

満島:去年、『僕だけがいない街』で初めてアニメ作品の声優をやらせてもらって、それが素晴らしい経験になりました。役者は自分の体がないとできないことだったりするのですが、声優は同じように芝居をしていながらも、(自分の体は使わず)声を吹き込んでいくという楽しみとか不思議さだったりというのがあって、声優をやらせてもらって感じた喜びをまたスクリーンで、そして神山健治監督が作る世界観に声優としてもう一度入れるというのがすごくうれしかったです。モリオに関われるというのが大きな喜びでした。

『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』
(C)2017ひるね姫製作委員会

 あとは、神山監督のことはもちろん知っていましたけど、そんなにアニメも詳しくないので「おもしろいところに入れるぞ」というワクワク感が一番強かったです。

──役作りについて教えてください。モリオを演じるにあたり、取り組んだこと、心がけたことはありますか?

満島:監督とも話をしましたが、『ひるね姫』はすごく今の時代を象徴している作品だな、と。僕らの親たちの世代は上の世代と戦いながら自分たちで物を作りあげていかなきゃいけない。でも僕らの世代は何でもあるんですよ。作るものがもうないのでは、というくらい選択肢もたくさんある。
 その中で地方都市の岡山で生きてきたモリオという男の子がどういう生き方をしてきたんだろう?って考えることがすごく楽しかったです。
実写作品だと、体とか自分の中から(役作りで)持ってきたりするけれど、今回の場合はすでにモリオが存在しています。そこに僕の魂が入った時にどうなるのかな?と思いました。モリオに僕の声を預けますという感じで、そのままの状態でやりました。監督もそれを望んでいたので、一度思ったとおりにやってみてからいろいろアドバイスをいただいたりしました。

アニメは自分と役の境界線が不思議で、その不思議さが魅力的
満島真之介

──岡山弁は難しかったですか? 主演の高畑充希さんは大阪出身で、「字面では大阪弁なのに音が違う岡山弁が難しかった」と仰っていました。

満島:自分も沖縄だから思うんですけど、今でこそ標準語が喋れるようになったけど、(標準語は)外国の言葉を話しているような感じでした。でも地元に帰ったり親と話すと方言が出ちゃうんですよね。

──アニメーションが未完成の状態でのアフレコだったと伺いましたが、アフレコの際に大変だったこと、苦労したことがあれば教えてください。

満島:アフレコは高畑充希さんと一緒で、あとは監督もそうですけど、みんな試行錯誤の中でやっていたので、それも良かったと思います。(役に対しては)オープンな状態で入るというのが一番大事かなと思った。「これだ!」と決めてやるのもいいけど、基本的にオープンになれるような状態をどこで作れるかというのを考えていました。
 その状態で入ると、モリオがセリフを言う場面でも、モリオが言っているけど僕が言っているわけでもあって、とても不思議な感じ。アニメはその不思議さがとても魅力的で面白いなと思いました。

満島真之介
満島真之介
みつしま・しんのすけ

1989年5月30日生まれ。沖縄県出身。2010年に舞台『おそるべき親たち』で俳優デビュー。主な映画出演作は『11.25 自決の日〜三島由紀夫と若者たち〜』(12年)、『風俗行ったら人生変わったwww』(13年)、『オーバー・フェンス』(16年)。今年は『無限の住人』『忍びの国』『花筐(はなかたみ)』が公開待機中。アニメ『僕だけがいない街』(16)で声優に初挑戦。