『風に濡れた女』間宮夕貴インタビュー

撮影中は裸で待機!? 主演女優の気遣いがスゴすぎる!

#間宮夕貴

日活ロマンポルノだと知り「おー」って思った

日活ロマンポルノ生誕45周年を記念して立ち上げられた「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」第2弾『風に濡れた女』が公開を迎える。主演を務めたのは、映画『甘い鞭』などで大胆な演技を見せた間宮夕貴。『黄泉がえり』の塩田明彦監督のもと、欲求の赴くままに男の上を渡り歩く女性・汐里を熱演した。

激しいアクションと野獣のようにむさぼりつく情事。肉体的にも精神的にも過酷さを極める撮影も「なにがなんでもやりぬくぞ」という気持ちで臨んだという間宮。そんな彼女に撮影秘話や「神ってる」出来事について聞いた。

間宮夕貴

──歴史ある「日活ロマンポルノ」への出演となりましたが、オーディションを受けるときはどんなお気持ちだったのですか?

間宮:この作品のオーディションを受けていたとき、日活ロマンポルノだって知らなかったんです。出演が決まってからロマンポルノ作品なんだと知って「おー」って思いました(笑)。

──これまでロマンポルノ作品というのは見たことはあったのですか?

間宮:名前は知っていましたし、復活するというのも聞いていましたが、見たことはなかったんです。撮影に入ってから、過去の作品を見てみようか悩んだのですが、私は影響を受けやすいタイプなので、無意識にでも真似してしまうのが嫌だったのでやめました。あとは、最初に見たロマンポルノが自分の作品だったらいいなという気持ちもあって、作品が出来上がるまでは見ないようしていました。

「お前服着ろよ!」と笑いにしたくて、現場では裸で仁王立ち!
間宮夕貴

──日活ロマンポルノといえば、裸や濡れ場で人生の機微や人間模様を表現する作品ですが、その部分でのためらいなどはなかったのですか?

間宮:他の作品の方々は初めてなのかもしれませんが、私は以前にも裸や濡れ場は経験していたので、抵抗はなかったですね。こんな歴史ある作品の中に自分の名前が入るなんてすごく嬉しいことですし「はい! やります」と前向きな思いでした(笑)。

──とは言いつつ動きもすごく、セクシーシーンもかなりアクロバティックですよね。

間宮:台本を読んだとき「アクション映画だな」って思いましたね(笑)。怪我だらけになるんじゃないかなって……。でも私は本当に運動神経が悪く、50メートル走では12秒ぐらいかかってしまうタイプなので、本当に撮影ができるのか不安でした。

──作品を見ていると、脚も上がっていて、すごくスポーツ万能に見えました。

間宮:実は相手役の永岡(佑)さんと塩田監督にどうやったら格好良く見えるかをアドバイスしていただきながらやっていたんです。うまく騙せましたね(笑)。

──ロマンポルノは普通の作品と違い、“魅せる濡れ場”も要求されると思いますが、意識したことはありましたか?
間宮夕貴

間宮:禁酒しました(笑)。お酒が大好きなのですが、飲んでしまうと、翌朝、身体が重いことが多く、体力もすごく消耗するので、リハーサルの期間から撮影が終わるまでは一滴も飲まずに我慢していました。

──本作の濡れ場は情緒的な展開というよりは、すごく躍動的な感じでしたね。

間宮:一般的にはカメラが回った時からしっとりとした雰囲気を演出するイメージだと思うのですが、この映画の場合、スタートの瞬間から「よし行くぞ!」みたいな運動会のようなノリでした。

間宮夕貴

──ではピリピリした感じはなかったのですか?

間宮:そういう雰囲気はなかったですね。たぶん私が現場で服を着ていなかったということもあるんだと思います。

──服を着ていないというのは……裸でいたということですか?

間宮:そうです(笑)。普通は恥ずかしいからギリギリまで隠していて、撮る段階になってから脱ぐのですが、そうすると現場がピリピリした雰囲気になると思ったので、あえて最初から裸で待機していました。変に隠していると皆さんに気を使わせてしまうので、逆に「お前服着ろよ!」みたいな笑いに変えた方がいいのかなって思ったんです。裸で仁王立ちして待っていました(笑)。

この作品で少子化を止めたい!
間宮夕貴

──間宮さんが演じた汐里という役とご自身の共通点はありますか?

間宮:私も好きな人ができるとグイグイ行く方なので、汐里の気持ちは分かりますね。振り向いてもらうために、他の男の人と仲良くしているのを見せて嫉妬させようとしたりする気持ちは理解できます。でもさすがに汐里みたいに、人の家で他人を連れ込んで行為をしたりはしませんけどね。

──塩田監督からは、汐里という役についてなにかお話しはあったのですか?

間宮:バックボーンを絶対作らないでくれと言われました。どこで生まれて、普段どこでご飯を食べて、服はここで買って……みたいな背景が一切見えない子。それでいて自分が頂点にいるという自覚があり、喧嘩を吹っ掛けられても余裕という感じで演じてほしいという指導がありました。

──実際、間宮さんは汐里みたいな生き方はどうですか?

間宮:私は人の目を気にしてしまうタイプなんです。怒られたことも引きずるタイプですね。友だちに「あんたはこういう性格だよね」などと言われると、そんな風に思われていたんだって、すごくショックを受けたりします。家に帰って寝る前に思い出して悩んだり……。ある意味で汐里はジャイアンみたいで羨ましいと思いました。演じていても楽しかったです。

濡れたTシャツに注目!『風に濡れた女』
(C)2016 日活

──劇中、汐里は「人に無視されるのが一番嫌い」と言っていましたが、間宮さんにとって最もされたら嫌なことはなんですか?

間宮:私も無関心な状態は一番嫌です。好きの反対は嫌いではなく無関心だと思うので、無視されるとへこみます。「嫌いでも好きでもいいから私を見て!」って思っちゃいますね。

──これはとても注目度が高い作品だと思いますが、公開がいよいよ近づいていますね。

間宮:すごく緊張しています。スイスのロカルノ国際映画祭で上映された時は場内大盛り上がりだったんです。物語の序盤で私が海から上がってきて、Tシャツを脱ぐシーンがあるのですが、そのTシャツを見てお客さんが大爆笑していたんです。塩田監督をはじめ、みんな不思議に思って「なんであんなに笑っていたんだろう」って話をしていたんですね。上映後、スタッフみんなでご飯を食べているときにその話になったので、現地のスタッフに聞いたら、私が着ていたTシャツの文言「YOU NEED TISSUES FOR YOUR ISSUES(あなたの問題を解消するためにはティッシュが必要です)」がそのまんま下ネタだったんです。

ロカルノ国際映画祭で観客を大爆笑させたTシャツを着た間宮夕貴

──塩田監督の演出ではなく、本当に偶然だったのですか?

間宮:塩田監督もまったく知らなかったと仰っていました。素材や質感のほうを重視して選んだTシャツだったので、文字が入っていることすら意識してなかったようです。本当に奇跡が起きましたよね(笑)。

──ロマンポルノ出演をきっかけに次の一手はどうしていきたいと思っていますか?

間宮:今まで暗い役が多かったのですが、汐里を演じさせていただき、明るい女性もできるんだと新しい扉が開いた気分です。今後もそういった役が舞い込んでくるといいなと思っています。

──最後に作品の見どころを教えてください。

間宮:スポーティーな作品です。この映画を見て『風に濡れた女』チルドレンができることを祈っています。少子化を止めようと思っている作品なので、ぜひ劇場に足を運んでください。

(text&photo:磯部正和)

間宮夕貴
間宮夕貴
まみや・ゆうき

1991年3月9日生まれ。愛知県出身。グラビアアイドルとして活躍する一方で、女優としても石井隆監督作品の『フィギュアなあなた』(13年)や『甘い鞭』(13年)、『GONIN サーガ』(15年)等に出演。舞台等にも積極的に参加し、女優としての表現の幅を広げている。