『見えない目撃者』楊冪(ヤン・ミー)インタビュー

中国ドラマ界の女王が共演したい日本人俳優の名は…?

#ヤン・ミー

中国のドラマ作りも変わりつつある

R18作品ながらも高い評価を得た韓国ヒット作『ブラインド』を、中国ドラマ界の女王ヤン・ミー主演でリメイクした『見えない目撃者』。アジアで絶大な人気を博す元EXOのルハン、実力派のワン・ジンチュン、チュー・ヤーウェンらが豪華共演を果たし、中国では公開初週の3日間だけで17.1億円超を稼ぎ出し大ヒットした。

とあるひき逃げ事件と女子大生連続失踪事件の関連が浮上するなか、事件に遭遇した目の見えない女性に命の危険が迫ってくる様子を描いたこの極上サスペンスについて、主演ヤン・ミーに語ってもらった。

──盲目の女性を演じるのは大変でしたか?

『見えない目撃者』撮影中の一コマ
(C)2015 New Clues Film Co., Ltd. All rights reserved.

ヤン・ミー:この映画を撮る前は目の不自由な方にお会いしたことはありませんでした。そうした映画を見たことはありましたが、深いところまで理解はできませんでしたから、今回の役柄のために成都の視覚障害体験館に行き、真っ暗な状態で2時間近く感覚をつかもうとしました。その後、目の不自由な方と交流し、生活習慣や行動の様子を観察しました。行動の外観をまねすることは簡単ですが、彼らが心の中でどう感じているかがもっと重要なはずです。交流して思ったのは、目の不自由な方たちは確かに不便な部分があるし、交流する時の気持ちにも私たちと違う部分があるということ。私はできる限り彼らと同じように考えようとして、それで感じることがたくさんありました。
 将来彼らの役に立てるチャンスがあれば、何か自分にできることをしようと思います。

──「中国ドラマ界の女王」と言われるヤン・ミーさんですが、映画とドラマの撮影に違いはありますか?

ヤン・ミー:製作の面で、映画の方がより細かいかもしれません。照明、セット、カメラの角度、役者の演技など、1つのシーンのために半日も1日もかかることがあります。でも最近はテレビドラマも変わってきていて、差がなくなってきていると感じます。
 私にとって今回の演技がこれまでと一番違うところは、目の不自由な人を演じることで、こういうキャラクターにはトライしたことがありません。私が演じたルー・シャオシンは非常にたくさんの面をもつ役。最初はきびきびと、また冷静であろうとします。彼女は元警察官ですから、自分の職業に自信を持っているのです。でもさまざまなできごとを経て失明し、彼女の心は大きなショックを受ける。自分の心を包み隠して、他人に自分の心の傷に触れさせないようになります。この映画では、彼女は良いものも悪いものも含めた外からのさまざまな影響を受け、自分を開き、自分と向き合うようになり、最後には成長し始める。私は失明後の彼女をどう演ずるかだけでなく、彼女の心理状態にもっとも心を砕きました。彼女の心は非常に複雑ですし、目が見えないので何か起こってもその反応は普通の人とは違います。どうやったら彼女の気持ちを出せるか、これについては監督とずっと話し合いました。

チャンスがあれば堺雅人さんと共演してみたい
『見えない目撃者』
(C)2015 New Clues Film Co., Ltd. All rights reserved.

──事件のもう1人の目撃者リン・チョンを、元EXOのルハンさんが演じていますね。アジアで大人気のトップスターですが、共演した感想は?

ヤン・ミー:ルハンはとても仕事に一途な俳優です。彼は演劇専攻の出身ではありませんが、全力で挑んでくるし、頭もいい。どう演じるかについてみんなと話し合う時は真剣に人の話を聞くし、自分自身の演じ方をつかむのもとてもうまいですね。
 それに彼は演技の経験が少ないけど、反応がリアルで、毎回演じ方が違うんです。私たちは同じように演じようとするけど、ルハンは演技を変える。私たちからすると、とても新鮮で貴重なものでした。
 また今回は、撮影の大部分が夜になりましたが、彼が文句を言っているのを聞いたことがないし、明るく真剣に取り組んでいました。彼の最大の魅力は、まじめさ、努力家だということでしょう。

──本作は、中韓合作の作品ですが、日中合作など日本作への出演に興味はありますか?

ヤン・ミー:もちろん、世界の映画人と一緒に仕事をしたいです。チャンスがあれば堺雅人さんと共演してみたい。作品では『Love Letter』と『キッズ・リターン』が好きです。

ヤン・ミー
ヤン・ミー
Yang Mi

1986年9月12日生まれ、中国の北京出身。4歳から子役として活躍し、中学卒業後、日本のファッション誌「Ray」の専属モデルとして起用されデビュー。名門の北京電影学院を2005年に卒業。中国のエミー賞にあたる金鷹賞に2回ノミネートされ、白玉蘭賞でも2つの賞にノミネートされて1つを受賞している。2009年、新世代の4大若手女優“四小花旦”の1人に選ばれた。ドラマ『美人心計〜一人の妃と二人の皇帝』(10年)、『宮 パレス~時をかける宮女~』(11年)などのヒット作品出演し、主演コメディー映画『失恋の達人〜上手に愛を手放す方法』(13年)は中国で興行収入125億円以上の大ヒット。『小時代』シリーズ(13年-15年)の興行収入の累積額は350億円近くに上った。今年も新作ドラマ『翻訳官』に出演するなど中国映画界・テレビ界を代表する女優となっている。プライベートでは、14年に香港の俳優ハーウィック・ラウ(劉威)と結婚し、一児の母でもある。