『舞妓はレディ』上白石萌音インタビュー

周防正行監督が発掘した新星を直撃! ピュアな魅力に迫る

私にとっては一生の宝物、大事にしたい映画です

2014年9月、日本のヒットメーカー・周防正行監督の新ミューズとして、映画『舞妓はレディ』で主演を務めた女優・上白石萌音(かみしらいしもね)。劇中では、京都・花街で立派な舞妓になるべく奮闘する少女・春子を、みずみずしい演技と華麗な歌・ダンスで表現した。

そんな彼女の魅力がいっぱいに詰まった『舞妓はレディ』がDVD&ブルーレイとしてリリースされる。周防監督をはじめ、共演者、スタッフの誰もが「素晴らしい」と目を細める彼女に、改めて感じる本作の魅力や、自身の現在について聞いた。

──映画が公開されて約半年が経ちましたが、反響はいかがでしたか?

上白石:家族や親戚、身近な友だちに「何か新しいことを始めようと思った」とか「私も頑張ろうって勇気づけられた」って感想をもらえたんです。この映画は「明日も頑張ろう」って感じてもらえたらいいなという思いで撮影をしていたので、映画が公開になって、私たちの思いが伝わったんだなって実感できてすごく嬉しかったです。

『舞妓はレディ』より/上白石萌音(左)と長谷川博己(右)
(C) 2014 フジテレビジョン 東宝 関西テレビ放送 電通 京都新聞 KBS京都 アルタミラピクチャーズ

──改めて上白石さんにとってこの作品は、どんな意味をもつ映画ですか?

上白石:なくてはならないものです。この作品に出会えて、お芝居がすごく好きになれたし、歌や踊りが、自分にとってなくてはならないものだって気づけました。あとは何よりも、監督やスタッフ、共演者など素晴らしい方々とのご縁をもたらしてくれた作品なので、私にとっては一生の宝物、大事にしたい映画です。

──初日舞台挨拶では、先輩方からたくさんの素敵な言葉をもらい、涙、涙でしたね。

上白石:はい(笑)。映画のあと、舞台(「みえない雲」)のお仕事をさせていただいたのですが、内容が社会派で深刻なものだったので、壁にぶつかったり、苦しい思いをすることがたくさんあったんです。でもそのたびに、あの日にかけていただいた言葉を思い出すと、少し元気になって勇気が持てるようになるんです。これからも色々なときに、あの日のことを思い出すんだろうなって。私にとっては忘れられない一日です。

長谷川博己さんと共演し、年の離れた人に恋心をいだく気持ちが理解できました
撮影中の様子。周防正行監督(左)と上白石萌音(右)

──『舞妓はレディ』の現場を振り返るとどんな感情が湧いてきますか?

上白石:ただただ楽しかった思い出ばかりです。もちろん苦しかったこともあったのですが、色々な方に声をかけていただき、楽しい雰囲気を作っていただけました。

──長谷川博己さんとは一番長い時間を過ごされたと思いますが。

上白石:すごく気さくな方で、私がすごく緊張していると、「大丈夫だよ」って温かい言葉や楽しい話をして気を紛らわせてくれるんです。劇中でも春子は、(長谷川扮する言語学者の)センセのことを慕って信頼しているのですが、実際も私は長谷川さんのことすごく頼っていました。

──劇中では年の差がありましたが、春子はセンセに恋心を持っていました。
『舞妓はレディ』より
(C) 2014 フジテレビジョン 東宝 関西テレビ放送 電通 京都新聞 KBS京都 アルタミラピクチャーズ

上白石:最初台本を読んだときは、これだけ年が離れている人に恋心を抱くってどういう感覚なんだろうってわからなかったんです。でも、長谷川さんとお話をしたり、色々なことを教えていただくうちに、そういう感情になることもあるんだなって思いました。年の離れた人に恋心をいだく気持ちが、理解できた気がしました(笑)。

──DVDの特典映像には、SKE48の松井珠理奈さんたちと寝転んでラップする可愛らしいシーンも収録されてしますね。

上白石:本編に入ると思って撮影していたのですが、映画には出てきませんでしたね(笑)。この作品では、あまり同年代の方と一緒のシーンがなかったので、すごく楽しかったです。あの場面は、唯一、春子の本音というか、別の顔がのぞけるシーンで、ラップもほんわかして振り付けも面白くて大好きなんです。

──歌に踊りに、上白石さんの魅力がいっぱい詰まった作品ですが、ご自身では演技と歌、ダンスはどれが一番好きなんですか?

上白石:比べられませんが、歌は少し特別かもしれません。もう生活の一部というか「No music No life」って感じです(笑)。風邪をひいて声が枯れているときでも歌っちゃうし、言葉を話せるようになってから、すぐ歌い始めたって母もいっていたぐらいなんです。

──では歌手活動やミュージカルもやりたいのではないですか?

上白石:できるように磨きをかけたいですね。ミュージカルも大好きです。でも、映像のお仕事の楽しさもこの作品で監督に教えていただいたので、繊細なお芝居や、画面を通して人の心を伝えられるようなお芝居ができるようになりたいです。

カラオケにも行き、一度きりの女子高生生活を楽しんでいます
上白石萌音

──高校生だということですが、学業と仕事の両立はいかがですか?

上白石:やっぱり難しいですね。でも自分の将来のためには、勉強も必要だと思っているし、大学にも進学したいと思っているので、どちらも一生懸命やって両立させていきたいです。

──高校生活はいかがですか?

上白石:普通の女子高生をやってますよ(笑)。好きな音楽のことで盛り上がったり、学校帰りに友だちと出かけたり、カラオケも行ったりします。女子高生って人生で3年間しかないので思い切り楽しんでます。

──子どものころメキシコに住んでいたんですよね? 語学はペラペラ?

上白石:3年間住んでいました。ペラペラかは分かりませんが、語学には興味があります。今は高校で英語を勉強しているのですが、メキシコはスペイン語だったし、この映画のキャンペーンでフランスや上海、オーストラリア、台湾と色々な国に行かせてもらい、ますます語学には興味を持ちました。この仕事をしていくうえで、語学ができると役立つこともあると思いますしね。

──英語ができれば、ブロードウェイのミュージカルなども夢じゃないですね。

上白石:そうですね。遠い夢だと思いますが、頑張りたいです(笑)。

──妹(上白石萌歌)さんも芸能活動をされていますが、どんな姉妹なんですか?

上白石:あまり喧嘩とかはしないですね。趣味も合うし、妹はすごくセンスがいいので、一緒に買い物に行ったりします。姉妹と言うよりも友だちって感覚です。でも、何かあれば私が引っ張っていかなければ……と思っているのですが、いま妹の方が私よりも8センチぐらい背が高いので、喧嘩したら負けちゃいますね(笑)。

『舞妓はレディ』
3月18日よりブルーレイ&DVDリリース
──お仕事の話はしないのですか?

上白石:以前はまったくしませんでしたね。でも最近少しずつそういう話をするようになってきて、この前「私たち仕事の話をするようになってきたね」って2人でしみじみと話していたんです(笑)。

──ライバル意識を持ったりは?

上白石:それがまったくないんですよ。私もいつかはそういうものが芽生えるのかなって思っていたのですが、今のところは一切そういう気持ちはないです。妹が出ているドラマを見ると嬉しいし、そういう関係っていいなって思えるんです。同じ仕事をしているので、お互いが一番の理解者だし、これからも助け合っていきたいですね。

──憧れの女優さんはいますか?

上白石:井上真央さんにずっと憧れています。お芝居が柔らかくて、すっと心に入ってくるんです。私もいつかは、人の心を包み込むような、余韻を残せるようなお芝居ができるように頑張りたいです。

──2015年の目標を教えてください。

上白石:今年は受験生なので、しっかり勉強したいです。勉強に打ち込むことが、人間としての教養にもなると思うし、知識を得ることは、女優さんのお仕事にも役立つと考えています。勉強とお仕事をしっかり切り替えてやっていきたいです。何事にも恐れずチャレンジして、全力投球。そして日々コツコツと努力していきたいです。

──DVDの見どころを。

上白石:歌あり、踊りあり、笑いあり、涙ありのとっても温かくて楽しめる作品になっています。舞妓さんが暮らしている花街や京都の魅力、そして日本の魅力がたくさん詰まっている映画ですので、京都に旅行に行くような気分でDVDを手に取っていただければ嬉しいです。

(text&photo:磯部正和)
(ヘアメイク:スズキミナコ/スタイリスト:兼子潤子/衣装協力:Sally Scott、Palais de Kiwanda)

舞妓はレディ
3月18日よりブルーレイ&DVDリリース
[監督・脚本]周防正行
[出演]上白石萌音、長谷川博己、富司純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、竹中直人、高嶋政宏、濱田岳、小日向文世、岸部一徳
[DATA]2014年/日本/東宝/135分

(C) 2014 フジテレビジョン 東宝 関西テレビ放送 電通 京都新聞 KBS京都 アルタミラピクチャーズ