BeeTVドラマ『最上のプロポーズ』斎藤工インタビュー

直球のラブストーリーに思わずビビった!

#斎藤工

正直、直球の役にビビりました

向井理、斎藤工、金子ノブアキ、小出恵介──女子に大人気の4人が出演する『最上のプロポーズ』。初恋の失敗にとらわれる男、自らの一目惚れに戸惑う科学者、眠り続ける彼女を献身的に見つめる男、彼女の突然の心変わりに戸惑う男、4人のプロポーズのエピソードを描いたオムニバスラブストーリーだ。

映像作家としてカリスマ的人気を誇る青山真治が監督し、スマホ向け動画配信サービス「dビデオ powered by Bee TV」、携帯電話専用放送局「BeeTV」で配信されている。

斎藤が演じるのは、初恋の相手に再会しながらも、思春期特有の恥じらいによって彼女を傷つけてしまった過去に悩む男。傷つくのが怖くて前に進めない男の不器用さを見事に演じた斎藤に話を聞いた。

斎藤工
BeeTV『最上のプロポーズ』配信記念イベントの模様

──オファーを受けたときの感想をお聞かせください。

斎藤:青山監督がこういうテーマのものを撮られるというのが意外だなと思いました。4人のエピソードのオムニバスなので、誰かが出ずっぱりということはなくて、総力の一部になるという今回の経験は心地良かったですね。また他の出演者の名前を聞いて、この年代になるとそれぞれがいろいろな経験をしていると思うので、面白いなと思いました。

──脚本を初めて読んだときの感想は?

斎藤:向井くんと小出くんは合点がいったんですけど、自分自身については『逆転裁判』『愛と誠』(共に12年)などクセのある役が多かったので、正直、直球の役にビビりました。隠れる場所がないなと。
 役者って、バイオレンスとかワイルドな衣装とか何かによりかかって役を作るところがあるんですが、今回はその部分が恋愛でしかない怖さがありました。キャラクターの生きる意味みたいなものが台本から読み取れなかったんです。どうすればいいんだろうと思いました(笑)。キャスティングしてくださったことを信じるしかないんですが、この道をこう登れば良いみたいなルートの提示がなかったんです。いかに普段、自分が役柄の特徴に寄りかかっているかと痛感しました。

日常的にサプライズを演出することは自分のテーマ
『最上のプロポーズ』
(C) BeeTV

──では、実際に演じる上で気をつけたことなどはありますか?

斎藤:彼女に対して負い目があることで、十字架とまでいかなくとも、何かを背負って接するということは意識しました。彼女を傷つけた自分を隠すことで彼女との関係は成立していたんですが、それが最終的に後押しになってプロポーズする役ということで、彼女に負い目を感じるということが必要な役でした。よく言えば、優しい人。悪く言えば、勇気が足りない男性ですよね。

──4つのエピソードの鍵を握るのが花屋「マリエッタ」。ここで花を買って告白すると必ずうまくいくというジンクスがある花屋ですが、斎藤さん自身は女性に花をあげることをどうとらえていますか?

斎藤:文化的に日本人が花をデートのときに贈るみたいなことはあまりないと思うんですけど、日常的にサプライズを演出することは自分のテーマにしていて、そういうときに贈れるものだと思うんですね。花を、女性が喜ぶものというより“男性が贈るもの”にしたいですよね。柄にもなく花屋を見かけると「オッ!」と思ったりもします。枯れてしまうというのも良くて、処分する日が来ると分かった前提で刹那的なものであることも魅力の1つですね。

──最後にドラマの見どころを教えてください。
左から向井理、斎藤工、金子ノブアキ、小出恵介
BeeTV『最上のプロポーズ』配信記念イベントの模様

斎藤:どの話も、一歩踏み出せない男子が、プロポーズに踏み出すまでのプロセスを描いているので、男子の弱さというか、振られたくないという気持ちが描かれています。今は傷つくのが怖い時代だからこそ、それを回避しようとする動きがあると思うんです。そういう意味では2013年におけるプロポーズのリアリティは表現されていると思いますし、デジタルがこれだけ発達しても、プロポーズってむき出しの行為というか、芯はアナログなんですよね。それは物語のなかでも面と向かってプロポーズしていることで表現されています。
 大事にしなきゃいけないイベントだなと再認識しましたし、(ハンフリー・ボガートが主演した)『カサブランカ』の名セリフ「君の瞳に乾杯」とクサくなく言える紳士な男性像に、男性が女性に奉仕することを学ばなきゃいけないと思いました。僕らに丁度よい葛藤をしながら印象的なプロポーズに至るということで、結婚を控えている方、憧れがある方、あの頃を思い出す方に、プロポーズの意味を再認識していただいて、それぞれの日常が華やかになる作品になっていると思います。

『最上のプロポーズ』は「dマーケット VIDEOストア」&「BeeTV」で配信中。

(アクセス方法)
ドコモの携帯から、
【スマホならVIDEOストア】dメニュー>dマーケット >VIDEOストア
【iモードならBeeTV】iメニュー>動画>BeeTV

斎藤工
斎藤工
さいとう・たくみ

1981年8月22日生まれ、東京都出身。2001年に俳優デビューを果たしたのち、TVドラマ『最上の命医』(11年)や『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(14年)で注目を集める。映画でも『愛と誠』(12年)や『無伴奏』(16年)、『団地』(16年)、『のみとり侍』(18年)といった話題作に次々と出演。公開待機作は『麻雀放浪記2020』や主演のほかに企画・プロデュースも務める『MANRIKI』など。また、2012年からは齊藤工名義でフィルムメーカーとしての活動を開始。初長編監督作品『blank 13』(18年)では、上海国際映画祭にてアジア新人部門最優秀監督賞の受賞をはじめ、国内外の映画祭で8冠を獲得した。HBOアジアのオムニバスドラマ『FOLKLORE』では日本の代表として『TATAMI』を監督。また、白黒写真家として撮影した『守破離』がパリ・ルーブル美術館で開催された学展で銅賞を獲得するなど、海外での活躍も期待されている。