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『弥生、三月 -君を愛した30年-』波瑠インタビュー

天才脚本家・遊川和彦の監督作に主演、迷いに迷った思いを吐露

『弥生、三月 -君を愛した30年-』波瑠インタビュー
16歳からの30年間を、3月だけで演じ続けた

『弥生、三月-君を愛した30年-』
2020年3月20日より全国公開
(C)2020「弥生、三月」製作委員会
16歳の高校生だった男女の1986年からの30年間を、3月だけを切り取り紡いだ『弥生、三月 -君を愛した30年-』。『同期のサクラ』、『過保護のカホコ』などの人気ドラマを生み出した脚本家・遊川和彦の映画監督としての第2作は、高校生の弥生と太郎が、互いに惹かれ合いながらも別々の道を歩んでいく年月を描く。

周囲に疎まれることもいとわず、自分の正しいと思ったことを貫き通す一方、病身の親友・サクラの死をきっかけに太郎への気持ちを伝えられず生きていく弥生を演じるのは波瑠。限られた設定で1人の女性の半生を演じたことについて、仕事への向き合い方を語ってもらった。


──出演のオファーを受けるかどうか迷われて、直接監督に会いに行かれたそうですね。

波瑠:はい。どうしようか考えて、迷っていまして。でも、まだ遊川さんが諦めずに私に声をかけ続けてくださいました。人を仲介したやりとりからお手紙のやりとりになって、最終的に一度会う機会をつくりましょうと言っていただいて、遊川さんと2人にしてもらいまして、自分の気持ちを遊川さんにお伝えしました。
 それでも遊川さんは、弥生という役をやってほしいと言ってくださって。すごく純粋な情熱を持って、この作品に向き合っていることを、お話ししていくうちに、そういう人と一緒に仕事をしてみたいと気持ちが動いていったんです。

──自分で一度考えて会いに行くという、波瑠さんの行動に弥生っぽさを感じます。

波瑠:そう思っていたのかもしれないですよね、遊川さんも。

──弥生というキャラクターについてはどう思われましたか。

波瑠:弥生という女性は、遊川さんの構想の中で生まれたキャラクターだと思うので、こんな人間に存在してほしいという希望、遊川監督の理想といったものが投影されていると思います。真っすぐさというか、いまどきの言葉で言うと芯が強いとか。きちんと自分の信念を掲げて生きている女性だなと思いましたね。

──ご自身と共通するところはありますか?

波瑠:すごく弥生の気持ちは分かる部分が多くて。親友のサクラをいじめるクラスメートへの怒りのメカニズムだったり、一所懸命、自分が信じてるものに向かって突き進んでいる人なのに、いろんなことに傷ついてしまう人なんですよね。

──30年という時間を3月だけで、という定点観測のような描き方でもあり、積み重ねを表現するのは難しかったのではないでしょうか?

波瑠:基本的には全部苦労しました。「これは楽だったな」というのはありません。本当に一つ一つ全部大変でしたね。30年を3月だけで描いていく話ですけど、当然描かれていない弥生の人生が4月も5月も6月もあるわけじゃないですか。しかもそれが30年分ある。どれだけ膨大にあるかは想像してもしきれない。ドラマや映画で描かれていないところに人生をちゃんと作ってあげるという作業は普段もしますが、「30年って……」と思って。ちょっと想像し切れないなと。出来ているのか不安でしたね、毎日。
 彼女にとって喪失って、「何で自分にこんなに付いて回るものなんだろう」という、自分の人生のテーマにでもなってるんだろうかと思うぐらいのものだという気がします。それに一つ一つを問い掛ける感じです。何で弥生は彼なしでここまで落ちてしまったのか、何でこういうことを言ったんだろうか、何でこういう気持ちなったんだろうか? 全部に疑問を投げていって、理由をつくっていく作業でしたね。

──見ていて、弥生はすごく生きるのがつらそうな女性だと感じました。とても純粋だけど、こうしなければならないってことに彼女自身が縛られているような様子が印象的で。

波瑠
波瑠:弥生自身の強さはあると思うんですけど、同時に「強くありたい」という思いから、そういう女性になっていった部分はあると思うんですよね。「サリバン先生になりたい」とか、そういう憧れを強く掲げられる学生時代は貴重だと思うんです。何になりたいのかまだ分からない人が多い年頃ですが、弥生の中にはそれがはっきりしている。人のためになりたい。そのためには自分が正しく強く真っすぐでいなければならないと思っていて、ちょっと頭が固い(笑)。でも、そこがいいところなんです。その彼女の不器用なところに、サンタ(太郎の愛称)やサクラも惹かれたと思うので、それも含めて魅力だとは思います。

──波瑠さんは高校生の時はもうお仕事を始めていたので、やりたいことを見つけられていた?

波瑠:はい。でも、まさか中高生の時に始めたからといって、この仕事でお金を稼いで、ご飯を食べていくみたいなことは全く想像していませんでした。自分から発信して入った世界だから、きちんと責任を持って、いろんなお仕事をやっていかなきゃいけないという感覚でした。高校を卒業した時に、大学に進学するかどうかを考えて、この仕事を選んだのは、これでやっていこうと思ったんでしょうね。これからもずっと続けていきたいと、もちろん強く思っていますが、何があるかわからないのも事実だから。10年後、全然違うことをしているかもしれません。

──弥生の親友・サクラは病床で、弥生とサンタに「ずっと変わらないでね」と言います。それが彼女たちにとって目標でもあると同時に、十字架のようにもなります。これは勝手な想像ですが、波瑠さんのお仕事も、ファンや見ている方たちから同じような期待をかけられているのかなと思います。

波瑠:作品を見てくださる方には、いつもありがとうございますと思っています。もし「変わらないでいてほしいな」と思っていただけるなら、それはすごく光栄なことで。私としても、変わらないでいてほしいと思ってもらえる自分を見せられたという意味で、ものすごく私にとってはポジティブなことです。何ていうか……、「変わらないでね」と思った気持ちが変わっていくじゃないですか、基本的には。サクラの言葉も、あの17歳という齡で思い浮かべる最大限の希望だったと思うんです。この2人に変わらないでいてほしいと思ったサクラも、健康で普通の女の子のように年齢を重ねたら、変わっていったかもしれないし。でも、その瞬間の思いを大事にする感情は、すごくいいと思います。

(2020/03/19)


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波瑠
はる

1991年6月17日生まれ、東京都出身。中学生の時にオーディションに応募したのをきっかけにスカウトされ、映画やドラマに出演。2007年から雑誌「セブンティーン」、2012年から雑誌「non-no」の専属モデルとしても活躍。2015年、「連続テレビ小説 あさが来た」(NHK)でヒロインを演じる。映画は『恋空』(07年)、『マリア様がみてる』(10年)、『ガール』(13年)、『グラスホッパー』(15年)、『コーヒーが冷めないうちに』(18年)、『オズランド 笑顔の魔法おしえます』(18年)などに出演。ドラマやCMでも活躍し、最近のドラマ出演作は『サバイバル・ウェディング』(18年)、『G線上のあなたと私』(19年)など。2020年5月に日台共同制作ドラマ『路〜台湾エクスプレス』が放送予定。

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