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『気候戦士〜クライメート・ウォーリアーズ〜』カール-A・フェヒナー監督インタビュー

気候変動を止めようと行動する人々に密着するドキュメンタリーを監督

『気候戦士〜クライメート・ウォーリアーズ〜』カール-A・フェヒナー監督インタビュー
5%の人が変われば、社会全体を変えることができる

『気候戦士 〜クライメート・ウォーリアーズ〜』
2019年11月29日より公開中
(C)fechnerMEDIA
先日、国連環境計画(UNEP)が、昨年1年間に世界で排出された温室効果ガスの量が553億トンになり、統計を取り始めてから過去最悪の多さになったと発表した。今年は日本でも異常気象による甚大な被害が各地で発生し、地球温暖化を実感させられる事態となっている。

これを止めるために私たちができることは何か。気候変動を止めようと行動を起こした人々に密着したドキュメンタリー『気候戦士〜クライメート・ウォーリアーズ〜』のカール-A・フェヒナー監督が来日、話を聞いた。


──まず、なぜ『気候戦士』というタイトルにしたのかを聞かせてください。戦士という単語を敢えて選ばれた理由は?

フェヒナー:私は30年以上、映画監督、プロデューサーとして70本以上の作品を手がけましたが、多くは環境についてのドキュメンタリーです。長編映画は『第4の革命』、『POWER TO CHANGE』、そして今回『気候戦士』というタイトルを付けました。
 私は好んで革命という言葉をよく使いますが、必ずしも闘争や対立のイメージではなく、愛や幸せのため、人々の未来のための革命です。平和を勝ち取るための正義の追求や自然を守ることをイメージしています。人々のための愛の革命というのが私の軸にあります。
 映画を通して伝えたかったのは、誰でも気候戦士になれるということです。誰でも環境のために戦う姿勢を持つことができる。私は優しい革命と呼んでいます。誰にでもできるということを伝えたいので、エネルギー変換の話をする時、私は必ず明るくて幸福度に満ちた未来が描けると伝えます。全ての人が充実した生活をポジティブに送れるというイメージを掲げています。

──登場する人たちの人選はどのようにされましたか?

『気候戦士 〜クライメート・ウォーリアーズ〜』
(C)fechnerMEDIA
フェヒナー:老若男女、多様性を出したいと思いました。大企業の役員や起業家などから貧しい草の根活動家、そして10代の若者、そして50代、60代の男性など、さまざまな人たちを映し出すことで、どのようにこの革命が解決に導いていくのかを映したかったです。ある社会学研究で出されたデータですが、社会を変えるには、その社会の人口の5%の人たちだけで変化を作れるという説があります。社会の様々な層の人たちそれぞれの5%を作ることができれば、彼らが社会全体を変えることができる。そこで様々な層から人々を選んでいきました。

──アーノルド・シュワルツェネッガーも登場します。スピーチ映像の使用を許可するだけではなく、少しですが、本人も映像で出てきて、実際に関わっていますが、どのように実現したのでしょうか?

『気候戦士 〜クライメート・ウォーリアーズ〜』
(C)fechnerMEDIA
フェヒナー:長い話なので、かいつまんで説明します。彼は元々『Wonders of the Sea 3D(原題)』というダイビングに関するドキュメンタリー映画の共同プロデューサーで、私がその作品を配給した縁で彼と知り合いました。彼も環境に関する思いを持っている人ですから、すごく小さいシーンですが、撮影に協力してくれました。彼は長年カリフォルニアの知事をやっていた頃から、とても積極的に環境への取り組みを訴えていた人です。とはいえ、彼自身はSUV(スポーツ用多目的車)を10台も持っているし、プライベートジェットで飛び回っている。その点はちょっと「うーん……」と思ってしまいますが(笑)、彼は今も昔も環境活動を大きくサポートしている人物ですから、私は彼の言うことを信じますし、彼という人物を信じています。
 私の話になりますが、ドイツ国内の移動にはもう飛行機は乗らないと決めました。国土はかなり広いのですが、必ず電気自動車か電車を使います。そして、肉食もやめました。実はアーノルド・シュワルツェネッガーも肉食をやめています。これも環境に関する配慮です。
 シュワルツェネッガーだけではなく、この映画に出てくる全ての人物の背景を綿密にチェックしました。表向きの活動と裏の顔は違ったりする場合もあるので、そういうことがないようにリサーチしたんです。全ての人物は真剣にこの問題に取り組んでる人たちです。

──若い人たちも数多く登場します。日本にもそういう若者はいますが、世間は彼らに対して冷淡です。

11月20日に来日し、大学の講演会など様々な場に登壇したカール-A・フェヒナー監督
(C)UNITED PEOPLE
フェヒナー:どこにもそういう保守的な声を持つ人々はいます。彼ら従来のシステムから利益を受けている人たちであり、気候戦士たちの訴えに反対の立場です。今の電力は全ての利権が電力会社に集中されている。気候戦士たちが望むのは、全ての人がエネルギーを作って、その利権を分散して分け合うことができるシステムを求めているのです。
 ドイツでは法律でCO2排出の最大量が決まっていますが、私自身も5年以上前から電気自動車を愛用しています。日本にも電気自動車やハイブリットカーがたくさんありますが、そういう流れが今後どんどん増えてくるだろうと思います。

──未来のエネルギー供給がテーマの『気候戦士』を作られてから、2年近く経ちますが、今の世界の現状についてどう思うか、これから何をすべきかをお聞きしたいです。

フェヒナー:1つだけ説明したいのが、これまで作ってきた作品の共通テーマは、必ずしも環境や自然エネルギーというのではないということです。全ての作品に共通するのは人々の画期的なアイデアや未来へのヴィジョン、そして社会の変容です。それを常に軸に入れて作品を作ってきました。
 今がどういう状況で、どんな問題が起きているかは、人々はもう十分理解してるはずです。テレビをつければニュースで報じていますから。私としては、問題点や不安を煽るのではなく、ポジティブにハッピーに変えるための解決策を表現することを心がけてきました。今後10年間がまさに決断の時だと思っています。今年からフライデーズ・フォー・フューチャー(未来のための金曜日/グレタ・トゥンベリが始めた地球温暖化対策を求める運動)などの、ヨーロッパを中心にさまざまなところで気候変動デモが活発になっていますが、私たち一人一人がその決断のときの一員になる責任を認識しなければならない。気候変動という問題を解決する立場になりたいのか、問題を増やす立場になりたいのか。それは18歳でも80歳でも、一人一人が自分の責任で決断しなければならない。再生可能エネルギーをはじめ、さまざまな革命的なムーブメントは一人一人の内なるパワーがなければ実現することはできません。しかし最後には、必ずわれわれは勝つと信じています。


(text:冨永由紀)

(2019/11/30)


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カール-A・フェヒナー
Carl-A. Fechner

1953年生まれ、ドイツ出身。フェヒナー・メディア代表として、25年以上もの間、持続可能社会をテーマにしたドキュメンタリー制作やキャンペーンを手がけている。2010年にドキュメンタリー映画『第4の革命』を初監督、2010年にドイツで最も見られた映画となる。『POWER TO CHANGE』(16年)に続き、本作『気候戦士〜クライメート・ウォーリーアーズ〜』(18)が第3作目となる。

(C)UNITED PEOPLE
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