永山絢斗

引っ張りだこの若手俳優が、映画初主演の感想と独自の気分転換方法について語った

 

『ソフトボーイ』永山絢斗インタビュー

『ソフトボーイ』永山絢斗インタビュー

 

もっと噛みついていくというか、ハングリーでありたい

  • 男子ソフトボール部がない佐賀県を舞台に、ソフトボール部を作れば、即「全国大会出場=学校の人気者」と考えた男子高校生のノグチが、仲間を巻き込み、紆余曲折を経ながらも部活を設立。不純な動機が出発点とはいえ、次第にみんながソフトボールの魅力にのめり込んでいく姿を描いた青春映画『ソフトボーイ』。

    この映画で、悪友ノグチに振り回され、いつの間にかソフトボール部の一員にされてしまうなど、振り回されっぱなしの主人公オニツカを演じているのが永山絢斗だ。2007年にテレビドラマ『おじいさん先生 熱闘篇』で俳優デビュー。映画デビュー作は『フレフレ少女』(08年)で、以来、ドラマ、映画を舞台に着実にステップアップ。本作で映画初主演を射止めた永山に、映画の裏話からオリジナリティ溢れる気分転換方法までを語ってもらった。

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  • ──この映画が初主演ということですが、まずは、初めて完成作を見たときの感想をお聞かせください。
  • 永山:嬉しいというか、こみ上げる気持ちもありましたし、最初に台本をもらった日のことを思い出して、台本以上のものが出来上がったんじゃないかなって思いました。
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  • ──振り返ってみると、楽しかった思い出と辛かった思い出、どっちが多い?
  • 永山:完成したときはもう、良い思い出ばっかりです。たくさんの人に見てもらって、早く反応が知りたいなって思いました。
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  • ──ソフトボールのシーンも出てきますが、練習はされたのでしょうか?
  • 永山:クランクインの1か月くらい前から、みんなで集まって練習したり、合宿を行ったりしました。なので、本番前にみんなとの距離も縮まったし、ソフトボールもうまくなれたので安心感はありました。
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  • ──ソフトボールの練習で苦労したことはありますか?
  • 永山:最初に台本を読んで「あ、ヘタクソな役だ、良かった」って思って(笑)。だけど、当たり前にソフトボールができて、始めてヘタな芝居ができるわけで、ボールすら捕れないのとはわけが違う。そう思って練習をしていたのですが、やっていくうちに段々と「うまくなろう、うまくなろう」って気持ちが湧いてきて。クランクイン前日くらいになって「アレ、このシーンはボールを捕れないんだ」って改めて気づいたり。なので、実際に撮影にのぞんだときは、そういえば、ボールを捕れない芝居を練習していなかった、どうしようって(笑)。
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  • ──ちなみにその危機は、どうやって乗り切りましたか?
  • 永山:台本にはゴロをはじくと書かれていて、それはグローブにボールが入ってから落とすのか、それとも元々はじくのか、どっちだろうって思って。結局、ボールがグローブに収まる寸前にグローブを閉じるという技を開発しました。閉じるのが早すぎるとバレバレなので。ギリギリで閉じることを心がけて。だから、注意して見てもらうと、そればっかりやっていると思いますよ(笑)。
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  • ──今回は同世代の役者さんが大勢いる現場でしたが、一緒に遊んだりしましたか?
  • 永山:ソフトボールの練習が終わった後に、ご飯に行ったりとか。あと1度、カラオケも行きましたね。そしたら、誰かが「じゃあ自己紹介しよう」って言い出して(笑)。「そんなのしなくて良くない? 別に改まらないでいいでしょう」って感じから入って、その日のうちに、みんな仲良くなっていました。
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  • ──カラオケには何度も行ったのでしょうか?
  • 永山:3回くらい行ったみたいなんですけど、僕は結局、その後は1度も行けなくて。僕が撮影している間にみんな行くんですよ。で、「また行ったの?」って聞くと、「でも、あんまり面白くなかった」って答えられて。その後、違う人から写メを見せてもらったら、すごく楽しそうなんです(笑)。それを含めて、楽しい思い出がいっぱいです。
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  • ──撮影を通して一番大変だったことは?
  • 永山:くじけないことですね(笑)。僕のメンタルの問題です。あんまり主役だということを表に出したくなかったんですけど、どこか片隅で、ずっと思っていて。
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  • ──主演であることを常に意識させられた?
  • 永山:そうですね、やっぱり台本を開いて、一番最初に自分の名前があることの恐ろしさというか、嬉しさというか、そういうものを感じました。
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  • ──ちょっと話は変わりますが、永山さんなりの壁にぶち当たったときの気分転換方法があったら教えて下さい。
  • 永山:時間(が経つこと)ですよね。それと、酒を飲むとか、音楽を聴くとか。あとは、思ったことを全部紙に書いたり、川に行ったり(笑)。
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  • ──川? 川って清流とかに行ったり?
  • 永山:いえ、近所の川です。
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  • ──また、どうして?
  • 永山:洗い流してくれる気がするんで(笑)。何かいいんですよね。昔から、地元にいた頃も、よく川に1人で行ってたんです。そこで、子どもたちが野球をやってたりするのを見ながら、のんびりしたり。煮詰まっちゃうときには、よくそういうことをしてました。
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  • ──今、川のほかにもう1つ、思ったことを全部紙に書くという話もしていましたが、それは何を書くのでしょうか?
  • 永山:そのとき思ってることや感じていることです。今でもときどき書くんですけど、そのときの感情をストックしておこうと思うんです。どこかで生かせたらいいなとも思っていて、そのときの状態や、その時間でしか生まれない言葉の組み合わせを書き留めています。ただ、そうなってくると、もっと良いことを書きたいとか、もっと腹を立てて見ろよ、おまえ、みたいになって来て、煮詰まっていた現実のことが失せていく一方で、書いているノートに対してイライラして来たり(笑)。
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  • ──では最後の質問です。今、どんどんと出演作が増えていると思いますが、俳優として、現在の自分をどんな風に思っていますか?
  • 永山:もっと噛みついていくというか、ハングリーでありたいです。時代に乗ることも大切かも知れないけど、どこかで、そんなの関係ないっていう気持ちも持っている。もっと、グチャグチャにしていきたいですね。やっちゃいけないことなんてないんじゃないかって思う。だって、俳優ですから。

(2010/11/19)

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永山絢斗

ながやま・けんと
1989年生まれ、東京都出身。2007年にテレビドラマ『おじいさん先生 熱闘篇』で俳優デビュー。その後、ドラマ『パズル』『恋空』(共に08)などに出演し、『フレフレ少女』(08)で映画デビュー。その他の出演映画に『罪とか罰とか』(09)『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』『ソラニン』(共に10)など。『ソフトボーイ』で映画初主演を射止めた。

永山絢斗

永山絢斗

『ソフトボーイ』ジャケット写真
 『ソフトボーイ』
【セルDVD】2010年11月21日発売/価格:¥4,935(税込)/発売:東映ビデオ、販売:東映
【レンタルDVD】2010年11月19日レンタル開始/発売・販売:アミューズソフト
(C) 2010「ソフトボーイ」製作委員会

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