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『ATOM』手塚眞×デヴィッド・バワーズ監督

映画『ATOM』手塚眞×デヴィッド・バワーズ監督

 

世界中で受け入れられる最高のアトム映画を作る

  • 1951年に連載マンガ『アトム大使』の登場人物の1人として登場。翌52年に『鉄腕アトム』として連載がはじまり、63年には初の国産長編テレビアニメとして、平均視聴率30%を超える人気を誇った手塚治虫の代表作が初めて映画化された。

  • アメリカ・香港の合作となる今回は、日本のみならず、世界60の国と地域での配給が決定。アメリカでは10月23日より約3000スクリーンで公開される。これはハリウッド大作と肩を並べる公開規模だ。

  • これまでに幾度となく映画化が噂されながらも、実現しなかったものが、今回、なぜ実現したのか? その舞台裏から『ATOM』製作の裏話を、監督のデヴィッド・バワーズと、手塚治虫の子息で、監修を務めた手塚眞に語ってもらった。
     
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  • ──まずは今回の映画化が、どういう経緯で実現したのか教えてください。
  • 手塚:最初に(本作の製作も手がけた)イマジ社から映画化のオファーがありました。それ以前にも、手塚プロダクションでは幾つかの映画会社と話をしてきましたが、それが全て中断した後だったので、非常にタイミングが良かったんです。また、イマジ社が原作を尊重した映画を作りたいと申し出てくれたこともあって、比較的スムーズに話が進みました。
  • 監督:実際の製作作業も、特にぶつかるようなこともなかったですね。幸運だったのは、手塚さんとお仕事をできたこと。製作過程は、もしかしたら地雷原となったかも知れない。それを、無事に通過できたのも、手塚さんがガイドのような役割を果たしてくれたからだと思います。例えば初期のデザインで、アトムのイメージがちょっと違うなって、自分たちでも違和感を感じていたときに、手塚さんがさりげなくビシッと指摘をしてくれたことで、最終的により良いアトムを作ることができました。本当にありがとうと申し上げたいですね。
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  • ──それは、どんな指摘だったのでしょう?
  • 手塚:1つ申し上げたのは、日本人にとってアトムのキャラクターは、「カワイイ」というイメージがあることです。これは微妙なニュアンスで、難しい部分なんです。というのも、「カワイイ」という日本語に相当する英語も、その感覚もないんですね。単純に言葉だけなら、「キュート」とか「ラブリー」もありますが、どれを当てはめてもちょっと違って、もうちょっとピュアなものだと思います。そこから先は、もう、具体論や技術論でしかない。どこどこを、あと何センチこうしてくれっていう(笑)。
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  • ──21世紀の子どもたちに見せるアトムにするために、いろいろとアレンジが加わっていると思いますが、悩まれたことがあったら教えてください。
  • 監督:今回は、アトムの年齢が12〜13歳と、みなさんが知っているアトムよりも、ちょっと高い設定になっています。というのも、このくらいの年齢は、自分のアイデンティティや居場所を探し始めたり、将来何をやりたいのかを考え始める年頃だと思うんですね。8〜9歳だと、そうはいかないので、少し年齢を上にしたのですが、その分、デザイン的に苦労しました。今、手塚さんも仰ったように、日本人が知っているアトムの「カワイイ」ところをキープしつつ、どうやって年齢を少しあげたらいいのか? そこが苦労したところです。
  • 手塚:逆に、アトムの機能面では、胸がパカッと開くなど、原作マンガにすごく合わせてくれています。一番驚いたのは、お尻からマシンガンが出てくるところ。昔のアトムの懐かしい場面なんですけど、まさかそれをやるとは思っていなかったので、逆に大丈夫ですかと心配になるくらい。
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  • ──映画化に際して、アトムのイメージを守るために、どんな手段を講じたのでしょう?
  • 手塚:契約の段階でイマジ社とは「キャラクターのデザイン」と「ストーリー」に関して、必ず手塚プロが監修をし、そのOKをもとに進めるという条項を設けました。それをもとに、彼らが作ってきたものを見て、最低限ここはおかしい、ここは日本のお客様は納得しないというところだけを返すようにしたんです。それ以外のところはフレキシブルに考え、柔軟性をもって彼らのアイデアを受け止めようと。
  • 監督:すごく、いい関係を築けたと思っています。なぜなら、私たちが同じものを求めていたから。それが何かというと、世界中で受け入れられる最高のアトム映画を作るということでした。
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  • ──これだけ長きに渡ってアトムが、世界中から愛されている理由はどこにあると思いますか?
  • 監督:まずはキャラクターの素晴らしさ。また、原作マンガが文学に匹敵することも大きいでしょう。シェイクスピアと同じなんです。だからこそ読者が、キャラクターやストーリーを好きになってくれ、これだけの長い間、いろいろな国で愛されてきたのではないでしょうか。
  • 手塚:監督の仰るとおりで、まずはストーリーが普遍的で、いつの時代に読んでも面白いことですね。それとキャラクターの魅力。アトムはロボットなのでスーパーパワーを持っていますが、見た目はピュアな子どもの格好をしています。誰にでも愛されるような格好をしていながら、それだけの力を持っていることも人気の秘密ではないでしょうか。
  •   アトムは双子の兄弟のようなもの
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  • ──そのアトムと、監督との出会いを教えてください。
  • 監督:僕が生まれ育ったイギリスでは、残念ながら『アトム』のテレビシリーズは放映されていませんでした。でも、アトムのことは10代の頃から知っていました。というのも、輸入品のステッカーなどが結構まわりにあったからです。ただ、ヴィジュアルでは知っていましたが、どんな物語かを知るのはもう少し後のことになります。だから、出会いは遅いかも知れませんが、イギリス人としては、決して遅い方ではないんです。
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  • ──手塚さんにとってアトムはどんな存在なのでしょう?
  • 手塚:僕の場合、生まれたときから『鉄腕アトム』はとても人気がありましたから、家の中はアトムだらけだったんです。しかも、手塚治虫の息子ですから、まわりの人も僕のことを「アトム」って言うんですね。だから、アトムには飽きてしまっていました。
    そのアトムですが、僕が生まれた翌年から虫プロでアニメが作られはじめ、2歳のときに放送がはじまるんです。だから、僕にはアトムのアニメと一緒に生まれ育ったという感覚があって、双子の兄弟のように思っています。向こうの方が先に生まれているので、お兄さんというか。兄は人気者でスーパーヒーロー、弟の僕は何もできないひ弱な人間なので、アトムに対し気恥ずかしい思いもずっとしてきましたが。でも、やはり、兄弟としての思いはずっと持ち続けています。だから今も、こうやって、お兄さんのために一生懸命宣伝をしているわけです。
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  • ──日本のアトムファンに、映画の見どころを教えてください。
  • 監督:すごくエモーショナルな作品に仕上がったと自負しております。特に後半からラストにかけて。メトロシティという空中に浮かんでいた都市は落ちてくるわ、巨大ロボットとアトムがバトルするはで、編集を始めたときに、自分でできるかなって思うくらいのスケール感がありました。だからこそ、エモーショナルで誇りに思えるエンディングになったと思いますので、そこを見てください。
  • 手塚:完成した作品を見て、良かったなと思ったのは、手塚治虫の原点に戻ったような気がしたところなんです。もちろん、現代的にアレンジされていますが、やろうとしていること、語ろうとしているストーリーやキャラクターは、最初に手塚治虫が連載を始めた頃に戻ったんじゃないかと思うくらいシンプルで、ストレート。どうしても日本人は、長い間アトムを見てきて、外見的な特徴から捉えようとしますが、本当に大事なのはテーマやストーリーなんです。今回の映画は、そうしたアトムにとって一番大切なのが何かを、見直せるいい機会になったと思います。
    それと、僕らはアトムが日本のキャラクターで、日本人のものだと思いがちですが、本当はとっくの昔に、世界のキャラクターになっているんです。今回の映画では、世界中のアトムファンが望んでいる1つの形を作れたと思っています。なので、これからは日本だけのものではなく、世界のアトムなんだという気持ちで、アトムがもっと世界に広がるように願っています。そのためにも、ぜひ、この映画を何回も見てもらい、「続編が見たい」「もっとすごいものを作ってほしい」と言っていただきたいですね。
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(09/10/12)

手塚眞

てづか・まこと
1961年、手塚治虫の長男として生まれる。ヴィジュアリスト、映画監督など多彩な肩書きを持ち、監督作『白痴』(99)はヴェネチア国際映画祭に招待され、デジタル・アワードを受賞した。有限会社ネオンテトラ代表取締役。株式会社手塚プロダクション取締役。宝塚市立手塚治虫記念館総合プロデューサー。『ATOM』では監修・宣伝プロデューサーを務めている。

 

デヴィッド・バワーズ監督

David Bowers
ドリームワークスとアードマンの共同製作映画『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』(06)を監督・脚本。英国アカデミー賞にノミネートされた。またドリームワークスでは『プリンス・オブ・エジプト』(98)のストーリーを担当するなど、ドリームワークスとアードマン作品の重要スタッフとして活躍中。

 

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手塚眞、デヴィッド・バワーズ監督

 

『ATOM』
2009年10月10日より新宿ピカデリーほかにて全国公開映画『ATOM』場面写真

(C) 2009 Imagi Crystal Limited Original Manga (C) Tezuka Productions Co., Ltd.
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映画『ATOM』場面写真

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